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交渉
「レディ? お前、何を」
「ちょっと黙ってろ、ワンダ」
突然想定外のことを言い出すレディにワンダが何かを言いかけるが、レディはワンダの言葉を遮って続ける。
「こんな大掛かりな真似をやってるんだ。詳しいことは知らねぇが、アンタも俺たちと似たようなもんなんだろ? この腐った世界を変えたいと思っているんじゃないのか?」
「……」
「だったら、アンタの目的とやらに俺たちは関係ないはずだ。頼む、俺たちが宝を持って帰ってくるのを待っている子供たちもいるんだ。さっき殺しかけたことは謝罪する、だから……見逃して欲しい、この通りだ」
レディはそう言いながら、クシアに深々と頭を下げる。
それを見たクシアは――
「……お前らはツイてねぇなぁ……あぁ、本当にツイてねぇよ」
「……え?」
――レディとの間合いを一瞬で詰め、その腹を鋭い闇で貫いた。
「義賊だってことをわざわざ俺に教えなければ、見逃してやったってのによォ!」
その表情は満面の笑みで醜く歪んでいた。