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新手の正体
レディが振り返った先には、悠々と壁にもたれかかったクシアがいた。
「……何故生きてる。確かにこの手で」
レディは驚いた様子でそう聞くが、クシアはそれを無視して続ける。
「今まで神官とは二回会ったが、そんな趣味のわりぃ服は着ていなかった。仮に神官だとして、お前らが近くにいながら国が無能兵士を突き出すってのも妙だ。それと、この匂い……この油絵みてぇな匂い。普通、お前らみたいな奴から出てくるような匂いじゃねぇ」
クシアは超法則『超人』で嗅覚を強化し、レディとワンダから微かに放たれていた匂いを嗅ぎつけ、推測する。
「てめぇら、さてはアレだな? 盗賊団的なやつだろ」
クシアの鎧兜の先にある顔がレディ、ワンダの目に映る。その歪んだ表情に二人は微かに動揺するも、レディはすぐに冷静さを取り戻して返した。
「……ご明察」