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トア・テトール


 都市国家ミライには中央に王城がある。城内は普段なら荘厳とした雰囲気に包まれているのだが――たった今朝なんの前触れもなく起きた非常事態を受けて、現在混乱の渦に飲み込まれてしまっていた。


 誰もかれもが慌てふためき、数多くの声が飛び交う。


「今すぐ神官と兵を向かわせろ! 国民には早く避難指示を!」

「相手は超法則者ですぞ!? 神官だけで良いはずです、一般兵では勝ち目が……」

「避難のための時間稼ぎには必要だ、いいから兵を向かわせろ!」

「私たちに死ねと申すのですか!?」

「そうだ、アレに殺されるか私に処刑されるか選べ!!」


「なんという……!? えぇい、この非常時にトア様とデノス様はどこにいる!? はやくトア様とデノス様を見つけ出して向かわせろ!」


「国の被害状況はどうだ!?」

「もうすでに被害者が出ています、今も増えてます!」


 命はおろか国そのものが滅びかねない危機に、誰もが冷静さを失っていた。


「大変です!!」


 そこに一人、中年の兵士が王の元に駆け寄る。


「今朝より確認された結界のようなものは、恐らく国全体を覆っています! 国の外への逃げ場がありません! 外からの増援も期待できません……!」

「な……」


 その報告を聞いたその場の者たちは皆、絶句する。


「それじゃあ……我々だけでアレを倒さなくては、ならないというのか……!?」


 その場の空気が絶望一色に飲み込まれそうになったその時。


「――全く。いい年した大人たちが情けないことですね」


 その場に若い女性の、静かでありながら確かな存在感のある声が聞こえてくる。その声の主は、赤い短髪が特徴的な、若く美しい女性。だが、その表情からは、まるで感情を読み取れなかった。


「あの男はこの私――トア・テトールが駆逐します」


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