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朝
「よし。なんとか暗いうちに終わったな」
クシアは満足そうに上空を見渡す。少しだけ明るくなった空一面に自身が張った暗い網で埋め尽くされているのが見えるが、まだ微かにしか視認できないため気付くものはまだ現れないだろう。
「まるで結界みてぇだぜ」
『そうね。でも結界を張るのに大分闇を放出したんじゃない?』
「そうだな。今の残量は、全体の十分の一くれぇかなぁ」
体内に残っている闇の量は振るえる力の量ともいえる。使用できる闇の量や機動力、破壊力が低減するだけでなく、使用可能な超法則の程度も下がってしまう。
それでも、中にいる人が逃げられないのなら。
「だがまぁ、皆殺しにするには十分だろ」
クシアはそう笑いながら、ミライの方を真っすぐ見据えながら構える。
「さぁて……行くか!」
そして、都市国家に向かって砲弾のように飛び出した。