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早朝
次の日の早朝。まだ空は暗く、周囲の空気が体を冷やす時間帯。
俺は都市国家ミライから五十メートルくらい離れた場所に立つ。早朝だからだろうか、大きな壁に囲まれた都市国家ミライの門は固く閉ざされており、門番もいない様子だった。
「この世界の門番は早朝には働いてねぇみたいだからなぁ、都合のいいこった」
『それで、どうするの? このまま襲い始めるってわけじゃないわよね』
早朝に襲うこと、それ自体は悪いアイデアじゃないだろう。大多数の人が寝ている時間帯に襲撃することで、逃げられる可能性を減らすことができる。
だが、もっといいアイデアがある。
「……なぁ、カース。逃げる住民を一人残さず殺す方法って、なんだと思う?」
『……もしかして、素晴らしい策ってそういうこと?』
何かを察したらしいカースの言葉に、俺はニヤリとしながら返す。
「あぁ。まずは連中の逃げ道を――――潰す」