特待生達 その5
「僕達は幸運にも超法則の才に恵まれた。そのことに慢心してきたつもりもない。才に恵まれてなお努力してきたからこそ僕達は特待生に選ばれ、帝国警団に助っ人を頼まれることになった。
でもそれは、帝国警団が超法則や才能に恵まれていないからでも、努力不足だったからでもない。単純に人手不足だから、僕達に頼ってきた……僕はそう考えてる。
もし帝国警団が無能だったなら、今頃帝国の治安はもっと悪かったと思う。なにせこの国は、超法則を持つ人の方が多いからね」
「……それは、たしかにそーかもな」
リアクの語りに対し、ボルティアが返す。
「でもそれって、人手不足状態を放置してる帝国警団に問題があるってことにはならない?」
そこへ、フォスが鋭いツッコみをいれてくる。
「確かに、人手不足を解消できないがために僕たちの力を借りようとするのは、本当なら問題があるのかもしれない。
でも僕は、それは仕方のないことだとも思ってるんだよね。
だって、超法則を持つ人の多くは、帝国の官僚を志すか、自営業を営むことを選択する。帝国警団は確かに帝国の官僚ではあるんだけれど、王城第二部隊や王城司書とかと比べると地位が低い……いや多分、官僚の中だと一番立場が弱いんじゃないかな。
その上、帝国警団の責務は帝国の治安維持。勤務時間は長いし、立場が弱い割には活動範囲も広い。だから余計に、誰もなりたがらない」
「…何が言いたいの、リアク?」
今度はティルボが、リアクの発言の意図が見えないと言わんばかりに尋ねる。
「――それでも。帝国の治安は維持されている」
リアクは空を見上げながら、誰かに伝えようとするように。
「帝国警団の人達は優秀なんだ」




