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立体芸術


「……」


 なんでもできる『超人』だったオーガは、なにもできない体になってしまった。

 何も見えない。何も聞こえない。何も感じ取れない。体も動かせない。

 喋ることすらできなくなり、まるで死んだ虫のようにその場から動けない。だが、彼はまだ死んでいない。


 死ぬことすら、できないのである。


「へへっ、たまんねぇなぁオイ……こりゃ、最高の立体芸術じゃねぇか」


 一方、オーガからすべての才能を奪い取ったクシアはヘラヘラと笑い続けている。


「ックク……ハハハ……アハハハハハ……」


 クシアの笑い声が段々大きくなっていく。よほど気分がいいのだろう。


「アッハハハハハハハハハ! アーッハッハッハ!!」


 やがて、周囲の空気を揺らすほどの大きな声で、ゲラゲラと笑い始めた。


 大声で笑い始めたのと同時に自身の体から漆黒の大津波を放出し、オーガにだけは当たらないようにしながらも周囲の建物を一気に破壊していく。黒い闇に飲まれたものは、全てボロボロに崩れて壊れていく。


 オーガが友達と食べ歩きをしてまわった店も。

 友達と遊び歩いた海の傍の風景も。

 オーガが命を懸けて守りたいと思った町のすべてが、黒い津波に飲み込まれて、消えていく。


「アーハッハッハッハッハァッ!!」


 クシアは、オーガから『超人』という名の才能だけではなく――すべてを奪ったのだ。


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