暗闇の密会 (3)
「――ってことをやってほしいんだよね。これは内容的にも、本当は俺がやりたいところなんだけど……俺は俺で、これからやらなきゃいけないことがある。そしてそれは、多分、俺にしかできないことだ」
「承知しました。どのような内容であれ、それがクシア様の命であれば遂行するのみ」
「助かるよ」
サガミは命令を遂行するためにと、再び暗闇の方へと歩き始める。
「あぁ、そうだ」
クシアはふと思い出したかのような声を出し、サガミはそれに反応するかのように足を止める。
「明日、リアにも会いに行く。彼女にもよろしく言っといてくれ」
街灯は、まるでこれから起こるこの国の未来を暗示でもするかのように、クシアの笑みを暗く不気味に照らしていた。
「御意」
街灯が照らす領域から外れ、その肉体に暗闇の翳りを落としたサガミは、たったそれだけ言うと霞のように姿を消した。
「……さて、それじゃあ」
クシアは背伸びをしながら、サガミが歩いていた方とは反対の方向に向かって、数歩歩き。
「十分休んだことだし――――俺も仕事をするとしよう」
そう言ったクシアの体は、暗闇の中で小さく分裂し始める――――




