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ディテール
「ま……まって」
オーガがらしくもなく怯えるような声で何かを言いかけたが、遅かった。
クシアの放った闇が、数本の蔦のようにオーガに向かって伸びていき――
「~~~~~~~~~ッッ!!」
――オーガの体の細かい部分を、緻密に、それでいて的確に破壊していく。
闇が、口に入り込み、耳に入り込み、鼻の中に入り込み、目の中に入り込んでいく。
手足の中に刺さるように入り込んで、中身を壊していく。
オーガの体が、命を奪いとるまではいかない程度に緻密に壊されていく。
繊細かつ的確な表現で人々から食の関心を生み出した、その味覚も。
美しい旋律を聞き分け素晴らしい楽曲を生み出した、その聴覚も。
圧倒的かつ独創性のある表現を創り出すことに一役買った、視覚も。
大切な友達を助け出した――どこかで誇らしく感じていた身体能力でさえも。
オーガが持っていた全ての身体能力だけが奪われ、全ての才能が壊されていく。