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仕上げ
それからしばらくたった頃。
「…………」
何度も繰り返された苦痛の果てに、オーガは声をあげることすらできなくなってしまっていた。
「さて、もう十分か」
そんなオーガの様子を見て、クシアは満足そうに呟く。
(……やっと……)
さっきまでの復讐心はどこへ行ったのか。
(やっと、死ねるんか……)
クシアの満足そうな様子を見たオーガは、ようやく死ぬことができる、この苦痛から逃れることができると安堵してしまっていた。
そんなオーガに向かって、クシアはおもむろに右手をかざす。
「仕上げだ」
その言葉と同時に、クシアの右腕からオーガに向かって闇が放出される。
「な……」
「何度も言ってるだろ? 簡単には殺さないってな」