27/333
無能
「――っ!?」
オーガの意識が復活する。
(な、何が起こったんや……!? 俺は死んでしまったはず……)
そう思って首を動かすが、視界に映る体は五体満足。切られたはずの手足も元に戻っていた……動かせないことを除いては。
「目が覚めたか?」
オーガはその声でクシアがいることに気付く。慌てて前の方に視線を向けるも、そこには誰もいない。声は確か上の方から聞こえた。顔を天に向けてみると、そこにはクシアを象徴する鎧兜が見えた。
「テメェ……どういうつもりや」
オーガが憤怒を滲ませた声で凄む。
「……っ、なんやこれ、くっっさ……」
だが、その場を支配する尋常ではない鉄のような臭気にさらされてその威勢は消え去り、顔をしかめ始める。
その様子を見ていたクシアは、笑いながらもまたぺらぺらとしゃべり始める。
「……やっぱりな。オマエの超法則、無いものは強化できないんだろ?」