動機
「……俺の話が理解できなかったか?」
俺は土下座しているガキの頭に足を乗せ、踏みつけにしながら続ける。
「俺の目的は全人類の皆殺しだ。さっきそう言ったよな? お前を仲間にする、だぁ? お前も殺さなきゃ意味ねぇんだよ!」
話しながら足を数回振り上げて繰り返し踏みつけたが、ガキは抵抗する様子を見せない。
「……昔、どこかで聞いたことがあります。この世界には、約三百億の人間がいると」
「なに?」
三百億……それは、俺が想定していた総人口よりもはるかに多かった。
どうやらこの世界は、俺の想像よりもはるかに広いらしい。もっとも、それが本当なら一体どこの誰に聞いたっつー話になってくるが……まぁ、今はいい。
「あの帝国を滅ぼした君は、きっと相当強いんだろう。でも……この世界には途方もない数の人間であふれてる。君一人だけで殺して回るより、もっと沢山の人と一緒になって殺したほうが、きっと君の願いも早く叶う。ね、悪い話じゃないでしょ?」
「……」
「そして、これは僕にとっても悪い話じゃない」
「どういうことだよ?」
俺は子供の頭から足を下ろして、問いかける。
「僕も――君と同じことが、したいんだ」




