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分岐点


「…なるほどなぁ。道理で妙だと思ったぜ」


 俺は今の状況に至る過程に一人納得する。


(多分ソイツは、割と帝国から近いところにいたんだろうな。あの時の俺は確か、わざとらしくデカい音をたてながら帝国内を破壊して回った。近くにいたならその音が聞こえてたとしてもおかしくはねぇ)


 あの時わざとデカい音を出していたのは神官をおびき寄せるためだったが、まさか近くに部外者がいたとはな。


(急な神官の失踪、突然の王の訪問に加え、帝国内での激しい轟音――多分、俺が張ってた結界も見えてただろうし、ソイツは帝国が滅ぼされてるとでも思ったんだろ。そうなればもう生き永らえることはできない、そう考えた連中は俺に襲われる前に集団自決を図った――ってところだろうな)


 もっとも、まだ引っかかる点は多い。神官が失踪したというのもそうだが、何故帝国の王はそのタイミングでこの村に訪ねてきた? そういえば、帝国内に王のような姿をしたヤツは見なかったな……これじゃまるで、俺が襲撃に来ることを知っていたかのような――


「――まぁ、考えてもしょうがねぇか」


 もう過ぎたことだ。これ以上考えたところでしょうがない。

 俺は少年の方へゆらりと手のひらを向ける。


「おい、ガキ。俺の目的は人間の皆殺しだ。ワケあって俺は、この世界の全人類を殺さなくちゃなんねぇのさ」

「……」

「つまり、分かるよな? 当然、お前もその対象だ。……さぁ、命乞いの準備は出来てるか?」


 俺がそう言った、その時だった。子供は突然、俺に向かって土下座してきたのだ。


「あ?」


 なんの真似だと一瞬思ったところに――――


「お願いします――――僕を、あなたの仲間にしてください」


 そいつは、子供のような声でそう言った。


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