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種明かし(4)


 その後、襲撃対策会議が始まったのだが……状況は厳しいと言わざるを得なかった。


 メッセイ帝国は極めて広大な国だ。おまけに、襲撃してくる超法則者は『超人』と同等レベルの身体能力を発揮できる。国民に対し逃げるように促したところで、逃げ切れないだろう。


「どうしても、国民を逃がすことはできないのか」

「無理や。今から国外に逃げるように通達したところで間に合わん。かと言って、下手に一か所に集めようもんなら絶対にそこを狙われる」

「一か所に集めて、そこを我々で守るというのは? 私やマイン、フループ、そして……君が力を合わせたとしても、難しいのか?」

「……難しいやろうな。アイツのことや、あれからも、俺以外の超法則も取り込み続けとる可能性が高い。どんな超法則を持ってるか分からん限りは、下手に固まるべきやないな。俺らの相手をせずに住民を優先されたりしたら、流石に俺でも守り切れへんと思う」

「…それに、私の『証明』の適用には人数制限があるんです。数百人くらいなら大丈夫でも、流石に国民全員を死なないようにすることはできません」

「そうか……そうだったな。私の『柔鉄』でも数人なら守ることもできるが、限界があるだろう」

「難しいか……クソッ」

「それに、大勢が一箇所に集まっているような異変をアイツが見逃すとも考えづらい。そうなったら、どんな手を打ってくるか分からない」

「襲撃することがこちらに漏れていることを、相手に悟られてはいけない……そういうことですね?」

「そうやで、白髪の嬢ちゃん。もちろん、こっちが相手の能力を知っていることも悟られたらアカン。アイツは今、帝国内には実力者がいなくて楽に勝てると考えている可能性が高い。最大限油断してもらわんと、勝つのは難しい相手や。せやから……」


 オーガの声色が一段と重くなる。


「せやからこそ……住民には襲撃のことを通達せず、普通通りに過ごしてもらう」

「……国民を広大な土地にばらけさせることで、少しでも犠牲を減らそうと考えていることは分かります。ですが……」

「あぁ、分かってる。本当は俺も、それ以外の手段を探したいところやけど……」


 オーガはかつて、実際に戦ったことがあるからこそ知っている。


 アイツは仲間と協力した程度で勝てるような温い相手ではない。目的のためなのかは分からないが残虐な趣向を持ち、それでいて目的のためならばどんなことをしてきてもおかしくない相手だ。


「……どんな手を打ったとしても、犠牲は避けられない。なら、犠牲がより小さくなる道を選ぶしかないんや」


 その場に重い空気が流れる。

 そう、この戦いには完全勝利できる希望などはない。情に任せて選択を誤れば、死ぬのはこちら側だ。オーガの話を聞いていた、その場にいる者達全員がそのことをよく理解している。


「だからこそ、せめて……俺たちが、ここで確実に、アイツを殺さないといけないんや」


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