黒源
「超人になった、やって……?」
オーガはクシアが言っていることの意味が分からず困惑する。
「あぁ……これを見てみろ」
そういってクシアは、自身が身に纏っているボロボロの布を開いてオーガに見せる。その胸元にあったのは、オーガが最初に開けた大きな穴と――漆黒の闇だった。
「これは黒源っつってなぁ……俺の体の、核みてぇなもんだ」
「……それが、なんやっていうねん」
「ここに超法則が触れることで、その超法則を模倣できるようになんだよ」
「なっ……」
オーガの表情が驚愕に染まる。
「俺を殺そうとして、真っ先に心臓を狙ったのがまずかったなぁ? てめぇが的確にここを貫いてくれたおかげで、俺は『超人』の超法則を使えるようになったのさ!」
「そんな……」
「感謝してるぜ? 『超人』ほど使いやすい超法則ってのもなかなかねぇからなぁ? ハハハッ最高の収穫だよなァ! アッハハハハハ!!」
「……」
けらけらと笑うクシアをよそに、オーガは黙り込む。
「さて、いい超法則も手に入ったしもう殺すけど。何か言いたいことはあるか?」
数秒間沈黙した後、やがてオーガは静かに呟いた。
「――――――――まだや」