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別次元


 オーガは直感で理解していた。今のクシアは、近づくことが極めて危険な存在になったということを。


「クソッ!!」


 オーガは犠牲になってしまった剣士たちが手放した剣を拾いながらもフループの傍まで移動し、クシアに向かって剣を次々に投擲する。


「アッハハハハハハ!」


 弾速に匹敵する投擲。普通に考えればそうそう躱せるはずがないそれを、クシアは心底楽しそうにゲラゲラしながら凄まじい速度で走ることでそれを躱す。


(さっきより身体能力が上がっとる……!?)


 その理屈は分からないが……今、確信した。

 もうクシアは、さっきまでとは別次元の存在になっていることを。 


「マイン、フループ!」


 オーガは、小刻みに震えてうずくまるフループとそれを守るように構えているマインの名を呼ぶ。


「なに!?」

「よく聞け! もうアイツはさっきまでと同じと考えたらアカン! フループをアイツに近づけさせるな、近づかれたらおわ――」


 そこまで言いかけた時。

 赤色の化け物の姿がオーガのすぐ目前にまで迫っていた。


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