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懸念
――それから俺は、特に何事もなく結界を張り終えることができた。
「見立て通り、見張りには雑魚兵しかいなかったな」
結界を張る最中に遭遇した見張りの数は壁の入り口と同じ数だけ存在したが、全て超法則を持たない一般人だった。
(まぁ、そりゃそうか。入口の数は全部で六つ、神官を見張りに使ってちゃバランスわりぃし)
なんにせよ好都合だ。おかげで特に危なげもなく結界を張り終えることができた。
(だが――流石にデケェ国だ。随分と闇を消耗しちまった)
今の闇の残量は恐らく二十分の一くらいだろう。いつかの国に結界を張ったときよりも、さらに少ない。想像以上に結界で闇を消耗してしまった。
闇の残量が極端に少なくなった今、一つ大きな懸念がある。
(こんだけ少ねぇと、カースを体外に出すことが出来ねぇ)




