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開戦
「……言いたいことはそれだけか?」
クシアは底冷えするような声で、そう呟く。
「あん? それだけやし、なんならこれから君を殺すけど。何か言いたいことでもあるんか?」
対する男の声は、ヘラヘラとした様子を崩さない。
「……確かに俺には友達がいない。でもいいのさ。何故なら俺は――」
少し下を向いていたその鎧頭が、明るい茶髪の男の方を真っすぐと見据える。
「お前みたいなのがみじめに死ぬところが大好きだからな。決めた、テメェは簡単には殺さない。できる限り苦しめてやるよ」
そのどこまでも暗く、それでいて愉悦に満ちたその不気味な声に、男は少したじろいだ。
「……あんたがイカれてんのはよぅ分かったわ」
「俺が暴れてたところにわざわざ近づいてきたんだ。使えるんだろ? 超法則」
クシアは悠々と立ち、両手を横に広げ、言い放つ。
「べらべら喋ってないでかかってこいよ」
鎧男の言葉を受けた男は、体を戦闘態勢に構え宣言する。
「言われんでも。君みたいなクレイジーサイコ陰キャ野郎、ぶっ潰したるわ」




