良案
「ほぇ? しょ、しょうね――」
じじいが困惑した様子で何か言おうとしていたようだが、俺は即座にそいつの体も粉々にする。
町に到着した俺は、早々に超法則を飛ばしてあたり一帯を消し飛ばす。人は当然として、モノも、建物も、すべてを消し去っていく。
遠くから微かに、悲鳴のような声が聞こえてくる。だが、まだそこまでは狙わない。まずはこの辺を一掃する。
あっという間に、周囲は瓦礫の山以外には何もなくなった。まだ町全体を破壊したわけじゃないが……今はこれでいい。
「あーあー、君。何してくれてんねん」
遠くから明るい茶髪の男の声が近づいてくる。ここまでは計画通りだ。
「あぁもう見ただけでわかるわ。君友達おらへんやろ?」
目の前にいる男はヘラヘラと笑いながら近づいてくる。
「なんやろなぁ、俺くらいの人気者になると見ただけで分かってまうねん。その小汚い格好に、平然と人を殺すその態度……どーせこの世界に恨み持ってるとか人が嫌いだとか、そんなくだらん理由で人を傷つけてまわるタイプやろ、君。才能なくて落ちぶれてくヤツはこれだからかわいそーやわ、ハハハ」
俺はそれを聞いて、相手が何者なのかをなんとなく思い出す。
「まぁ、安心しいや。君みたいな社会のごみは、ワイが掃除したるから」
そして――最高に面白いことを思いついて、口元が微かに緩んだ。