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二つのリスク
竹の体を一瞬にしてバラバラにしてすぐに、俺は闇を放出して肉塊のすべてを体内の黒源へと飲み込む。
「…これでよしっと」
自身の体内に飲み込めたことを確認した俺は、竹の自宅がある方向へ歩き始めた。
『面白いことって、そういうこと?』
カースが脳内で愉快そうに話しかけてくる。
「あぁ」
俺は空に浮かぶ綺麗な月を眺めながら、脳内で話し続ける。
「町中じゃいろいろ聞きまわったわけだが、七大司祭の超法則が何なのか結局はっきりしていねぇ。いろいろ面白い話が聞けたのは収穫だったが、結局のところそこが分からねぇと動けねぇからな。だから――こいつに擬態して、恋人である娘から父親の超法則を聞き出す」
『確かに面白いわね……でも』
カースが疑問を投げかける。
『その作戦には二つリスクがあるわ。一つは、あの小娘が恋人相手に父の秘密を明かす保証がないこと』
「その点なら大丈夫さ。仮に明かさねぇとしても、第二のプランがある」
『あら、そうなの? それならいいけれど……もう一つは、さっきのを例のアレに見られたかもしれないことかしら』
「例のアレっつーのは……『忍者』のことか」




