超法則『悪魔』
「なっ……」
白い塊は、悠々と立つ俺の姿を見て大きく動揺しているのが分かる。
「な、なぜ……キサマの超法則は『正義』じゃないはず……」
「分かんねぇのか? てめぇから奪ったんだよ」
「う、奪った……だと……」
鉄屑の聞き返す声からして、もう最初の時ほどの威勢はすっかりなくなってしまったようだ。
「俺の超法則は『悪魔』っていうらしくてな? 俺も詳しいことは分かんねーが、なんでも敵の攻撃を受けることで、その攻撃の再現ができるんだとよ」
だから、わざと攻撃を受けて、悪魔に時間を稼いでもらったというわけだ。
俺が言ったことは全てが全て真実ではない。敵の攻撃を受けただけで無条件に複製できるなんてことはなく、いろいろ条件付きだったりするが……まぁ超法則なんてものがある世界だ。いつどこで、誰が聞いているかわからない以上、ハッタリをかましておいた方がいいだろう。
「仮にそれが本当だとして……私の正義が、邪悪なお前に壊されるはずが……」
「さぁな? …単に俺の『正義』が、テメェの『正義』に勝っただけじゃねぇのw?」
「……そんな……」
白いゴミは無念そうに唸り、その場に倒れて動けなくなる。
「…ちょっと、ゴミ掃除に時間をかけすぎたな」
もう、この村に誰も残っちゃいないだろう。
「まぁ、最後の最後にいいもん見れたし、良しとするか」
それでも俺は、愉快で、ただただ心地よくてたまらなかった。