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【正義】
「ガハッ……!? なっ……!」
白騎士は自身の身に何が起きたのか、すぐには理解できなかった。壊れて自立できなくなった人形のように、ふらふらと膝をつく。自然と地べたへと視線が映り、雑草と土が赤く染まっているのが視界に映る。
「ば、ばかな……この鎧も『正義』でできているのに……」
ようやく、自身が身に纏う鎧が貫かれたことを理解した白騎士は狼狽え始める。
「この鎧を破れる超法則など、『嘘』以外には知らない……一体、どうやって……――ッ!?」
だが、あることに気が付いた白騎士は、今度はひどく動揺し始めた。
「ば、バカな……これは……! この、白い剣は……!?」
何故なら、自身の胸に刺さっていた剣が――紛れもない、自身の超法則そのものだったからだ。
「へぇ。これが超法則、『正義』か」
悪意に満ちたどす黒い声が聞こえてくる。さっき、体中に穴をあけたあの男の声だった。
その声を聴いた白い塊は、恐る恐る男の方へと振り返る。そこに立っていたのは――
「便利だね」
五体満足で悠々と立ちながら、数本の白い剣を虚空に体現させている鎧頭の姿だった。