老夫婦一夜
おじいさんとおばあさん、二人は腹に一物持っていた?
おーじいさんおじいさん
貴方の首を狩りましょう
私のお手手でちぎりましょう
むかーしむかしあるところに、お爺さんとおばあさんがすんでいました。
おじいさんは酒飲みで、酔うとすぐにおばあさんに対して手をあげました。
現代で言うドメスティックバイオレンスという奴だったのです。
その日も、おじいさんは、酔っておばあさんに手をあげていました。
「おいババァ、もっと酒をよこさんか!」
すでに二㍑は飲んでいるおじいさんはおばあさんにたいして日課のごとく手をあげました。
とても大きな綺麗な音で、おじいさんの右手のひらとおばあさんの左頬がぶつかりました。
おばあさんが柱に頭をぶつけました。
「ふん!酒をワシにださんからこんな事になるんじゃ」
そう言うとおじいさんは家をウロウロウロウロ歩き回り、あさりまくり、そして酒を見つけました。
「おおぅ、あるじゃないか。これだよこれ。あるんだったらとっとと出しやがれこのばばぁ」
おばあさんはこんな男と何で結婚したのかと記憶を巡りました。
最初は優しかったのです。
二人で畑を耕して、二人で山に熊鍋用の肉を狩りに行ったり、それから、息子と三人、海で食料をあさったりとそれはそれは楽しかったはずです。
それがいつからでしょう、男がドメスティックバイオレンスな暴力を振るうようになったのは。
息子が人身売買にあったとき?
あれは、私のせいじゃない、私が町へ買い物に行った時、昼寝をしていた男とその隣で昼寝をしていた男と私の息子が在宅時に入られて十二歳の可愛い可愛い顔のお人形さんのような顔のあの子が鈍器で殴られて売られてしまったかもしれないのはとなりで男が寝ていたからだわ。
じゃぁ、いつから?
私が貴方の好みの酒を忘れてしまったとき?
いつからなのかしら。
いつからなのかしら。
「おい、もう酒はないのかぃ。おばあさん」
ああ、また男が私の髪の毛をつかんで立たせた。
ああ、また男が私の頬を殴って倒れさせた。
ああ、また男が私のことを殴るんだわ。
酒瓶で私が叩かれるんだわ。
楽しいのかしら?
生きていて楽しいのかしら?
良いのかしら?
生かしていて良いのかしら?
生けない。
生かしては生けない。
私にたたきつけられた酒瓶をつかむと私は、おとこに向かって
思いっきり
思いっきり・・・・・・・・・・・・・・・
男が真っ赤に綺麗な花を咲かせて床に倒れた。
びくんびくんと体が痙攣し。
動かなくなった。
「おーじいさん、おじいさん
貴方の首を狩りましょう
私のお手手でちぎりましょう」
刃物でゆっくり切れ目を入れて、手でちぎれるようにする。
手で、男を破壊する。
あぁ、こんなに楽で楽しいことなんだ。
あぁ、こんなに興奮することなんだ。
あぁ、こんなに楽しいんだ。
おばあさんは、これまでされたドメスティックバイオレンスを思い出し、おじいさんだった肉片一つ、一つやり返した。
おーじいさんおじいさん
貴方の首を狩りましょう
私のお手手でちぎりましょう
おーじいさんおじいさん
貴方の体を解体しましょう
私という名の刃物でね
おーじいさんおじいさん
あなたの存在消しましょう
この世にいらないものだから
おーじいさんおじいさん
貴方の名前は何かしら
貴方はいったい何かしら
おじいさんとおばあさんのダークな話、いろいろ書いてみたいと思います。
おじいさんとおばあさんって神秘的というか、不思議な人だと思うんです。
おじいさんとおばあさんが繰り広げる夫婦喧嘩など、老夫婦を書いてみたいと思います。
老夫婦シリーズ、またいつかの第二弾でまっててください。