第2章:邪竜と黄金色の竜 第2話:前兆
前回までのThe Outsider
スレイがこの世界に来て3年が経ち、彼とジョッシュは晴れて銃士隊に正式になることが出来た。そんな時に初任務として、天星人の救助をしに行くが・・・
クレイグが玉座に召集される数時間前、外交大臣は執務室に送られてきた手紙の内容に驚いていた。
「何ということだ!!」
その手紙はガルア王国から送られてきたもので、手紙の内容にはアストリア国王の一人娘である"リデア"がアストリア王国へ帰国中に行方不明となったというもので、外交大臣は酷く動揺していた。
「どうしたのですか?」
脂汗をかく外交大臣を覗くように尋ねたのは、宰相である"トラヴィス"であった。
「と、トラヴィス様・・・」
外交大臣は震える手で問題の手紙をトラヴィスに渡す。受け取った彼が手紙の内容に目を通すと、顎に手を当てた。
「ふむ・・・これは困りましたね」
彼が顎から手を離すと、手紙を持って執務室から出て行った。
彼は廊下を歩いて、ある部屋に入る。その部屋は、"伝令室"という部屋で、ここでは内政や外交関連の伝達業務をしている。彼はそこで仕事をしている職員に命じた。
「お疲れ様です」
「そちらこそお疲れ様です。お忙しい時に申し訳ありませんが、今から言う内容を"ヴァートレスの村"にいるクレイグ様に伝えてはもらえないでしょうか?」
そしてヴァートレスの村にて、クレイグは山の頂上にて照明弾を放ったスレイとジョッシュを心配し、自身も山へと向かおうとした。
クレイグが村から出ると、途中で騎士団と遭遇する。その騎士団にはレーヴァが所属していて、案の定、彼女も来ていた。
「クレイグさん、お疲れ様です」
「ああ、お疲れ。お前たちはどうしてここに?」
「王宮の観測班が天星人を見つけて、その結果ここだということに」
「奇遇だな、今スレイとジョッシュが先行している」
「先を越されましたね」
「ただ───アイツらがあの山の頂上で照明弾を放った後、なかなか戻ってこない」
「それは心配ですね・・・」
何か嫌な予感がしているクレイグに対してレーヴァは笑顔で言った。
「でも大丈夫、銃士隊の訓練を耐えたあの2人がそう簡単に死ぬ筈ないじゃないですか。私達も付いてますから、一緒に探しに行きましょう」
「そうだな、頼もしいよ」
彼女からそう言われて、クレイグは前向きに笑みを浮かべた。
「副団長、指示を」
レーヴァに1人の騎士が言い、それを聞いたクレイグは驚いた表情をする。その騎士はどう見ても彼女より年上だった。
「我々は銃士隊長の1人であるクレイグ殿と共に、天星人及び捜索に出た2人の銃士隊員を救出する、異議は?」
「承知しました」
副団長からの命令を聴いた騎士は一礼して隊を動かしに行った。
「お前・・・そこまで偉くなったのか?」
「騎士団が再編され、私がその副団長に任命されました」
「凄いな」
「まだまだですよ」
会話が終わり、彼女は団を率いて山へと向かった。
「凄いですよね、彼女」
クレイグの横から話しかけて来たのはロベルという高身長の優男で、レーヴァの先輩に当たる人物だ。
「俺はちと気に食わんが・・・まぁあれだ。ここで嫉妬してちゃレーヴァに申し訳ない」
ロベルとは逆にもう一方から話しかけて来たのはクリブという厳つい男だ。
「お前達はレーヴァの部下になったのか?」
「今はそんな感じです」
「だが、レーヴァはまだ未熟だ。だからこそ俺たちが見守ってやらんとな」
「意外と過保護ですね」
「うるせぇ」
『過保護』とからかうロベルにクリブはそっぽを向き、クレイグはその光景を見て笑った。
それからしばらくして、クレイグとレーヴァ達騎士団はスレイとジョッシュ、それに天星人の少女を見つける。その場にはアイスゴーレムや狼の死骸、破損したライフルが落ちていた。
そして下山しヴァートレスの村へと戻る。救出された3人は発見した時の状態を鑑みてアストリア王都にある病院にて精密検査をする事になった。
クレイグはレーヴァ達騎士団を見送った後、自分の家に戻ると、伝書箱に何か入っている事に気付いた。
「アストリア王宮から・・・?」
彼が手紙の内容を読むとそこには、"緊急召集"等の内容が記されており、彼はすぐ王都へと向かった。
そして今に至り───彼は国王の話に驚愕していた。
国王夫妻の一人娘が留学から帰ってくる時に失踪したとなれば、ガルア王国に責任が問われ国交問題に発展する可能性もあったのだ。
「護衛の兵士はいましたか?」
「ああ、付けていたとも」
「その護衛は?」
「分からない・・・」
彼は王様からの答えに対して頭を悩ませた。
「〔誰か1人でもこちらに戻って来ているのなら状況がわかりやすいのだが・・・〕」
次に彼はガルア王国についての質問をした。
「なら、ガルア王国の方は何て言っていたのですか?」
「ガルア王国は『我々にも責任がある為、こちらの方でも捜索する』と伝達が来たが、あちらでも難航しているようだ」
「それは困りましたね・・・」
「申し訳ないのだが、そこで一つ頼みがある」
「何なりと」
「私の娘リデアを捜索し、どうか助けてほしい」
「任せてください。"かつての戦争"で国の為に尽くした"仲"ではないですか」
「すまない」
国王は引き受けてくれたクレイグに一礼する。そして、後から来たトラヴィスに案内されて彼は玉座から出て行った。
「頼んだぞ・・・クレイグ」
王様は祈るように彼を見送った。
一方、城下町にある病院ではスレイ、ジョッシュ、レーヴァの3人が会話を楽しんでいた。
「しっかし、助けたあの娘可愛かったよな」
ジョッシュが助けた天星人についての話を切り出した。
「確かに、凄い可愛い娘だったわ」
「だろ、スレイなんて惚れ込んでいたぜ?」
彼がそう言ってスレイの方を見た。
「スレイ、正直惚れてただろ?」
彼が冷やかすような笑みを浮かべてスレイをからかうと、それに対して『うるさい』と言って他の方を向く。どうやら図星のようだった。
「悪かったって」
「あら、スレイ君顔が赤いわよ?」
「レーヴァさんまで・・・」
レーヴァもスレイをからかい、彼は困り果てた表情をする。それを見て彼女は手で口を隠すように上品に笑った。
「そういえば、あの娘はどうなるんだ?」
「まぁ、スレイ君と同じように城の研究棟で検査した後、彼女の行動次第では"職業診断"するかもね」
このアストリア王国では、天星人の受け入れを率先して行なっている為、職業診断制度というものがある。この制度は求職者に対して綿密な検査、及び質問をしてその相手に適している職を見つけてくれるものだ。
「まぁ・・・貴方達は銃士隊に自ら志願して、私は騎士アカデミーに入学したからやらなかったけどね」
「そもそも利用するとしたら何処でやるんだ?」
「ギルドハウスで行ってるそうよ」
「そうだったのか」
3人が会話をしていると、ある人物がこちらに近づき、弱々しい声でスレイ達に話しかけた。
「あ、あの・・・」
3人が声がした方向を振り向くと、そこにはスレイとジョッシュが助けた天星人の少女がいた。
ジョッシュはその少女に『よっ』と手を挙げて気さくな仕草をした。
ジョッシュの挨拶に続いて、レーヴァが少女に笑顔を見せ、スレイは少し頭を下げて一礼する。しかし、ジョッシュは素っ気ないような彼を見て肘打ちした。
「もう少し元気そうにしろよ、第一印象悪いぞ?」
「そうだった・・・?」
女の子との対面に不慣れな彼をジョッシュは叱り、チャンスを与えた。
「ぶ、無事で良かった」
彼は少女に笑顔を見せて彼女の無事を喜んだが、少し噛んだような言い方になってしまった為、ジョッシュは頭を抱えながら溜め息を吐いて呆れた。
「そういえば、何か思い出した?」
レーヴァが少女に話を切り出すと、少し考えたように彼女は答えた。
「あまり思い出せませんが・・・」
「簡単なことでも大丈夫よ、名前とか」
「名前・・・」
その問いに彼女は口を開いた。
「私の名前は"ベアトリス"だったような気がします・・・」
「ベアトリス・・・?」
スレイは何故かその名前に妙な感覚を持つ。まるで何処かで聞いたことがあるような既視感が彼にはあった。
「変・・・ですか?」
ベアトリスという少女が名前に疑問を抱くスレイに対して首を傾げながら言うと、彼は我に返ってからこう言った。
「いや・・・良い名前だな、と思っただけだよ」
スレイが煌びやかな笑顔をベアトリスに見せると、彼女は頬を赤くして彼に一礼した。
その光景を見て、ジョッシュは変なものでも見て引いたような表情をした。
「あっ、そうだ。貴女には申し訳ないのだけど、これから城に同行してもらうわ」
「城へ?」
「大丈夫、貴女に訊きたいことがあるだけだから」
レーヴァはベアトリスをエスコートするようにそそくさと病室から出て行った。
2人が病室から出て行った後、スレイはジョッシュが引いている表情をしている事に気付いた。
「どうしたの?」
「いや、お前そんなキザったらしい事言うんだな・・・」
「えっ・・・」
スレイはジョッシュの言った言葉に困惑していた。
それから少しして、スレイとジョッシュは病院から出る事にする。2人の傷は魔法で完治されており、後遺症も無さそうだった。
彼等が出ると空からは眩しい陽が照り付けていた。
「俺たちいつまで寝てたんだ?」
「さぁ・・・」
「取り敢えず飯にしようぜ、腹減ってしょうがねぇや」
「だね」
「あっ、ただちょっとギルドハウスに寄らせてくれよ。仕事始めた"アイネ"の顔を拝みに行こうぜ」
スレイはジョッシュからの提案で、2人はギルドハウスへと向かった。
2人はギルドハウスの中に入る。そこには様々な職の冒険者が思い思いに過ごしており、ギルド職員が淡々と仕事をこなしていた。
「初めて入ったよ・・・」
スレイがギルドハウス内を見ながら言った。
「まぁ、銃士隊も非常事態じゃなければ冒険者みたいなもんよ」
すると、ジョッシュが受付の方でお目当ての人物を見つけた。
「おっ、いたいた」
ジョッシュはそう言って受付に向かう。そこには艶のある緑髪を三つ編みにして束ねている同年代の少女を見つけた。
「よっ、アイネ」
ジョッシュは手を挙げて挨拶するが、アイネの様子がおかしい───彼女は笑顔を作って彼を他人として扱った。
「・・・何の御用でしょうか?」
「えらく他人行儀だな・・・」
アイネは周りを見た後、表情を変えてジョッシュに耳打ちをした。
「多分誘いに来たんだろうけど、私の昼休みまであと10分までだから外で待ってて」
アイネはそう言った後、再び笑顔を作った。
「スレイ、行こうぜ」
「あ、ああ」
2人はひとまず外に出て行く。その際にジョッシュは彼女に対して、軽く敬礼した。
10分後、彼等の所にアイネが来た。
「お待たせ」
「どうしてあんな態度を?」
「だって、仕事中だからよ」
「ギルドの受付嬢も大変だな」
「でしょ? それで、何処で食べる?」
「そりゃあ、いつもの所さ」
3人はある食堂に向かう。その食堂は"マルコズダイナー"と呼ばれるレストランで、スレイは訓練生時代にジョッシュやアイネと一緒に食べた場所だった。
彼等が店内に入り、ウェイトレスから席に案内される。そして座ると彼らはメニューに目を通した。
「何にする?」
「私、シーフードマリネで」
「なら俺は鹿肉の衣揚げにするか。スレイはどうする?」
「俺は・・・チキングリルにする」
「決まりだな」
ジョッシュがテーブルにあるベルを鳴らしてウェイトレスを呼び、それぞれ食べたい料理を注文した。
料理が来るまでの間、3人は会話する事にした。
「しっかし、アイネも受付嬢か・・・男に口説かれるか?」
「時々口説く人はいても、受け流してるわ。責任感無さそうだし」
「まぁ、だよな」
アイネが何かを思い出したような表情をして話を変えた。
「そうだ・・・貴方達、この噂は知ってるっけ?」
「どんなだ?」
「実はね・・・最近というか1年前からかだけど、"魔物が活発化"してるらしいのよ」
スレイやジョッシュもその話には聞き覚えがある。むしろ彼らは1年前にその出来事を体験し、1人の友人を失った。
「おいおい・・・そりゃあ1年前からそうだし終わったんじゃないのか?」
「いや、それがまだらしいのよ・・・今日はあまり混まなかったけど昨日とかなんて冒険者がギルドハウスに押しかけるほどだったのよ?」
「そりゃあ商売繁盛で結構」
「違うのよ、逆に冒険者を辞める人が続出してるのよ」
「根性無しばっかなのか?」
「貴方は経験してないからよ。噂によると、"知能が低いはずの魔物が別の魔物と徒党を組んで襲ってきた"り、'強力な魔物が村の結界を破って襲ってくる"なんて事もあったそうよ」
「意外とあり得そうな気もするが・・・」
「それが一説によると、"邪竜を信仰する教団"の仕業なんじゃないかって・・・」
「でもよ、その教団ってとうの昔に壊滅したって聞いたぞ?」
「それはそうなんだけど・・・」
「さすがに怖がりすぎだって」
スレイはこの時、ディミトリのある言葉を思い出していた。
『"同年代の女騎士"が知り合いにいたら気をつけた方がいい』
もし、この魔物の活発化を誰かが人為的に引き起こしたものとするならば───スレイはある種の恐怖を感じる。何故そんな事をするのか、彼には到底理解できるものではないだろう。
「〔ディミトリは勘違いをしたのか・・・〕」
彼はレーヴァに疑いをかける事を拒み、無理矢理ディミトリの勘違いだと思い込む事にした。
「〔すまないディミトリ・・・手がかりが見つからない今、レーヴァを疑いたくない〕」
彼等が不穏な話をしていると、料理が来た。
「取り敢えず食おうぜ」
彼等はそれぞれ料理を食べる。思い思いに感嘆を漏らしていた。
「あっ、そういえばだけど」
アイネが食べている途中で2人に話しかけた。
「もう一つギルドで噂になってる話なんだけど」
「嫌な話は止めろよ?」
「これは不快な話じゃない筈よ」
「どんな話?」
「最近、人探しをしている"黒髪の女剣士"がいるらしいのよ」
「へぇ」
「それって普通のことじゃ無いのか?」
「当たり前だから変な話じゃないんだけど、その女剣士さん、傘みたいな帽子被ってて、等級章を持ってなかったのよ」
「偶々忘れたんじゃ?」
「まぁそれも有り得るし、傭兵の可能性もあるけど───その人に対しての情報が全く無いのよ」
「それも意外と有り得そうだけどな」
「普通、ギルドは国問わずで情報共有するのが約束事だからそんなことはない筈よ」
「だったら別大陸とか?」
「それかもね・・・その人に対しての噂として、左腕の袖口から"妙な機械"が見えたとか」
「時計とは違うのか?」
「携帯時計を手首に巻くなんて初めて聞いたぞ・・・あったら滅茶苦茶便利そうだけどな」
「無いんだ・・・」
「ならカルロさんに提案してみたらどうだ? あの人絶対乗るぜ?」
「今度ね」
会話しながらも料理を食べ終え、会計を済ませた3人は店の外へと出てきた。
「またね」
アイネと別れた2人が城下町を歩いてから夕方近くになり、見覚えのある少女と出会った。
「あれ、あの娘・・・」
その少女は彼等が助けた天星人のベアトリスだった。
彼女は白いローブのような衣装を見に纏い、食べ物が入った袋を持っていた。
2人がベアトリスに近づいて挨拶をすると、彼女は彼等に挨拶を返した。
「こんにちは、スレイさんにジョッシュさん」
ベアトリスの笑顔を見て緊張のあまり目を背けてしまったスレイは、ジョッシュにからかわれる事を危惧して彼女の方を向き、話をした。
「何故俺たちの名前を?」
「レーヴァさんから教えてもらいました」
「なるほど・・・そういえば今は1人なのか?」
「はい」
「あれ、確かベアトリスちゃんはレーヴァと一緒だったんじゃ・・・?」
「レーヴァさんとは、"緊急の用事"で別れました」
「アイツ・・・自分からエスコートしといて何やってるんだ・・・」
「緊急の用なら仕方ないんじゃ無いかな・・・」
3人が一緒に歩き、レーヴァの家へと向かう。どうやら彼女はベアトリスに鍵を渡し、当分の間はここに住んでも良いように話したようだ。
「アイツ、そんなに家を空けるのか?」
もしそうだとしたら相当怪しくなる───スレイは再びレーヴァを疑うべきか迷った。
「そう言えば、ベアトリスちゃんが着ている服、神官服だね。職でも決まったのかい?」
「はい。私が城で調べてもらったら、魔力が豊富なようで、魔導士という選択肢もありましたが神官にしました」
「それでだったのか」
「はい。何というか、人のお役に立ちたくて・・・変でしょうか?」
「いやいや、変じゃない。寧ろ立派なことだよ、なぁスレイ?」
レーヴァのことで考え込むスレイにジョッシュが話を振る。それに気づいた彼が我に返ると目を泳がせるように動揺した。
「まさか・・・今までの話聴いてなかったのか?」
「ご、ごめん・・・」
彼が話を聴いていなかったことについて認めて謝る。ジョッシュはベアトリスの隣で頭を抱えながらため息を吐いて呆れた。
「スレイ、お前なぁ・・・」
スレイが持つ悩みの種は尽きなかった。
スレイとジョッシュは、ベアトリスをレーヴァが住むマンションの一室まで送り届けた。
「しっかしベアトリスちゃん、神官になるなんて驚きだよ。俺も怪我したら治してもらいたいぜ」
2人が無駄話をしながらしばらく歩いていると、後ろから聴き覚えのある声が聴こえてきた。
「おーい」
彼等が振り向くと、そこには"シェイル"がいて、彼息を切らしていた。
「シェイル、どうしたんだ?」
「話は後、クレイグさんが呼んでるよ」
「待て待て、詳しく聞かせてくれよ?」
ジョッシュからそういわれて、シェイルは周囲を見渡して確認した後、2人に小声で言った。
「王様の一人娘が留学から帰国中、行方不明になった」
彼等はそれを聞かされて驚いていた。
「そんで、クレイグさんは今動ける銃士隊員を募ってるんだ」
「俺達も行こうぜ、スレイ」
「ああ、そうしよう」
「なら王宮に行こう、それについて会議があるんだ」
2人は彼について行き、城へと辿り着いた。
城の中に入り、会議が行われる部屋に入っていった。
その部屋には多数の人間が既に座っており、彼等もシェイルに案内されて座った。
「そういやヴィルトは?」
「アイツは留守だったよ」
「肝心な時に運悪いな・・・」
「まぁ、今回の任務は精鋭揃いになるから安心できるんじゃない?」
部屋の所々でそれぞれ話をしていると、部屋にトラヴィスが現れ、一斉に静寂が訪れた。
「皆様、お集まり頂きありがとうございます。これから説明する事は国王陛下勅命である為、心して聴くように」
トラヴィスは一呼吸置いてから説明を始めた。
「今朝方、陛下の一人娘であるリデア王女が、ガルア王国への留学からこちらに帰国中行方不明となりました。ガルア王国でも捜索はしているものの、今尚見つからないそうです。」
「護衛はいたのか?」
「ええ。ただ、彼らも同時に失踪───いや、彼らの遺体が発見されました」
その言葉を聴いて、部屋中が騒々しくなった。
「ガルアの仕業か?」
「それは分かりません。山賊によるものなのか、魔物によるものなのかはハッキリしていません」
「ただ一つ言える事は、この任務に対して細心の注意を払いながら行動する事───それを厳守してください」
トラヴィスは前方の壁に貼り付けられた地図を示す。それは何処かの森のようで、赤い印がまばらに3箇所も記されていた。
「これはガルア王国から出発後、リデア王女が失踪したと思われる予測地点です」
「3つもあるのか?」
「はい。なので3つの混成部隊として各所の捜索してください。何か質問はありますか?」
トラヴィスが質問があるか訊いた時に、ジョッシュが手を挙げた。
「どうぞ」
「もしもの話ですが・・・その地点を捜してもリデア王女が行方不明の場合若しくは亡くなっていた場合はどうしますか?」
スレイはジョッシュの質問に対して唖然とし、辺りも気まずい雰囲気となった。
「・・・その場合は現場の判断に任せます」
「すみません、失礼しました」
彼が一礼して座った。
「他に質問が無いならここで解散とします。各自、装備を整えた後に王都の停留所に集まってください」
作戦会議が終わり、スレイ達は各自持ち物を取りに行き、停留所に集まった。
停留所には何台もの馬車が並んでおり、次々と人が入っていった。
「自国のお姫様が行方不明か・・・」
「それがどうかした?」
「いや、助けられると良いな・・・って思って」
まるで遠くを見ているかのように言うジョッシュをスレイは不思議と思いながら、馬車は動き始めた。
これからも不定期で投稿すると思いますが、それでも見ていただけたら嬉しいです。




