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8話

 玄関を出て、目の前にあった馬車に先にシイナさんが乗った。

 乗る前に私が


「ジイダさんは乗らないんですか?」


 と問うと、ジイダさんは笑った。


「わしが乗ったら誰が馬に乗るんじゃよ。」


「あ、そっか…。」


 ジイダさんは、馬に跨ったのを見て、私も馬車に乗った。

 馬車なんて乗るのも見るのも初めてだから何もわからないけれど、座席は向かい合わせで4人ほど座れるくらいゆったりしていた。

 たぶん、馬車にしては大きい方なのではないのだろうか。

 そんなことを考えていると、馬車はゆっくりと走り出した。

 カタンコトンと音を立てていて、なんだかその音が心地よく感じる。


 シイナさんと私は向かい合わせに座った。

 シイナさんが先に馬車のカーテンを閉めておいてくれたみたいで、中はオレンジ色の明かりで包まれていて、錯覚かもしれないけれど、心なしか少し暖かいような気がした。


「ここから、8時間…でしたっけ…?」


「そうよ、私は週末にいつも一人で王国の方から出ている送迎用の馬車に乗ってここに帰るのだけど、一人だとすごく長く感じるわ。」


「今日は、私もいるんで…たくさん話したいです。」


 そう、私がおずおずと言うとシイナさんは少し驚いてから微笑んだ。


「そうね、この王国のことをなるべくたくさん教えるわ。」


 そう言って、シイナさんは私のためのものが入っているだろう大きなバックとは別の、少し小振りなバッグから、一枚紙を出した。


「これが、スピギアル王国の地図なのだけれど、今いるのがここよ。」


 私はコクリと頷いた。


「そして、あなたが倒れていた森がここ。名前はアルバスの森っていうの。

 この森を抜けた先にある街がアルバスっていう街だからなのだけど。」


「アルバス…どんな街なんですか?」


「私が働いている街なのだけれど、とにかくたくさん人がいて、ここよりは少し暖かいわ。お店もたくさんあるわ。」


「お店…」


 私の脳内に広がったのは、ヨーロッパの街並み。

 私は、あんな場所を見られるかもしれないのか、と思い目を輝かせていたのだろう。

 その様子を見たシイナさんが


「王城での用事が終わったら、私の職場にも案内するわ。その時に一緒に街を回りましょう。」


 と、言ってくれた。


「え!?本当に!?!?……あっ、ですか?」


 興奮のあまり、ついタメ口になってしまいすぐ訂正すると、シイナさんは笑ってくれた。


「別にそのまま、友達に喋るように話してくれて構わないわ。」


「い、いやいや、それは…」


 私が手を顔の前でブンブンと振りながら言うと、シイナさんはまた笑った。


「なんて、まだ早いわよね。私もすぐにその口調にしろと言われてもできる自信ないわ。ゆくゆく慣れてきたらにしましょう。」


 と言ってくれた。

 シイナさんとの約束がたくさんできたな。そう思ってほっこりした。


「あ、そうそう。話を戻すのだけれど、アルバスの森を抜けて、街を通って少し進むと、もうそこが王城なの。」


「えっ、意外と近くないですか?」


「まあ、地図上で見ると近いのかもしれないけれど、ここを一直線で行けるわけではないの…。

 森を抜けてアルバスの街に入る前に、関所を通らなくてはいけないの。」


「…関所?」


 そんな言葉、一度も聞いたことないなと思って質問すると、シイナさんはすぐに説明してくれた。


「アルバスは王城から一番近い街だから、関所って言うところで危険物を持っていたりしないか、荷物検査をしたりするの。そこで通行許可証をもらってからでないと、アルバスの街には入れないのよ。」


「な、なるほど。徹底されてるんですね…」


「そうね。そして、その関所は東西に2つだけなの。だから、わざわざ遠回りをして森を抜けなくてはいけないの。」


「なるほど。」と、私は頷いてから、随分元いた日本とは文化の違う所なのだな…と、改めて感じた。






シイナとの会話シーンが多くなってきました…。

そろそろ王城につきたい所だけど…なんせ前設定が多くて説明できるのがもうここしかないって言う…。

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