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夏休み[7]

ラズルとグラウィスは魔剣を見させて貰う為に、ルルに店の裏側へと案内して貰っていた。


1番奥にはバリケードから結界らしきものまで、かなり厳重に保護されたケースの中に1本の柄頭(つかがしら)から切先(きっさき)まで、全身真っ黒な刀が入っていた。


「....ここだ」


「店の裏側ってこんな感じなんだな」


「あ、あれがさっき言ってた魔剣ですか?」


「ああ。名前も何も無い、それにどんな魔剣かもちっとも分かっていないんだ」


「....ここからでも普通の剣とは違う事が分かりますね」


「うーん、剣と言うよりこれは....刀か?」


そう言いながらラズルは魔剣の入ったケースへと近付いて行った。


「あっ!駄目だって!」


「大丈夫大丈夫。絶対触らねぇから」


「ラズル絶対に触らないで下さいよ?!絶対ですからね?!」


「ごめん、何か無性に触りたくなってきた」


「何で?!」


「危ないからそれ以上近付かな....!」


ルルがラズルを止め様としたその時、魔剣の入ったケースが突然カタカタと動き出し、やがてその動きは大きくなっていき、そしてとうとうケースを破壊した。


「なっ...?!ラズル離れろ!」


「はっはっは!こんなにバリケードとか結界とか張ってんだろ?絶対大丈夫だって!」


ラズルのその言葉に答えるかの様に、宙に浮かんでいる魔剣はあっさりとバリケードと結界を破壊した。


「................」


「................」


「................」


「総員撤退ぃぃぃ!!!」


「馬鹿野郎ぉぉぉ!!!」


ラズル、グラウィス、ルルはその場から逃げようと即座に後ろを向き走り出す。


しかし、魔剣の方もそう簡単には逃がしてくれないらしく、文字通り飛んで3人を追い掛けて来た。


「ヤバいヤバい!死ぬ死ぬ!」


「ラズルがあんなに近付いたからですよ!」


「だからあれだけ気を付けろって言ったろ!」


「ごめんて!マジごめんて!」


必死に店の中へと駆け込もうとする3人だったが、後1歩という所で魔剣がラズル達に追い付き、そして....












見事ラズルの右手の中へとゴールインをした。


「「「あっ....」」」


「ラ、ラ、ラズル、それって....」


「ごめんなラズル....お前の武器は造ってやれそうに無い」


「....え?何言ってんだよお前ら~、魔剣なんてどこにも無いじゃ~ん」


「ラズル、現実を見て下さい。そして自分の右手も見て下さい」


「右手?あー、多分それ馬鹿にしか見えない魔剣だよ!」


「でも本当は?」


「めっちゃ右手に質量を感じる」


「「「あはははは!」」」


「「「................」」」


「いや、笑い事じゃねぇよ?!え、俺何か持ってかれんの?!」


「ラズルごめん....俺がそんな物見せたから......」


「いや、ルルは何も悪く無いって、見たいっつったのはこっちだしな」


「いやでも....」


「代償って言っても何取られるか分からないんだろ?多分大丈夫だって!」


『我が主よ、代償としてそなたの命を頂こう』


「................」


「ラ、ラズル?どうしました急に真顔になって」


「....いや、何か聞こえた気がするけど多分気のせいだ」


『我が主よ、代償としてそなたの....』


「ふんっ!!!」

 

「「ええぇぇぇぇぇ?!」」


その言葉を最後まで聞かずにラズルは今使える全戦闘スキルを使い、魔剣を折ろうと全力の膝蹴りを食らわせた。


「硬っっ!!」


しかし、魔剣はビクともしなかった。


「どうしたんですか急に?!」


「殺らなければ殺られる...!」


「ラズル落ち着けって!」


その後もしばらくラズルは魔剣を力の限り折ろうとするものの、一向に折れる気配は無かった。


「はぁ..はぁ...はぁ....」


「まだ代償が命と決まった訳じゃないんですから、落ち着いて下さい!」


「うるせぇ!こっちは少し安心した2秒後に死刑宣告されてんだよ!」


「えっ....という事は」


「さっき代償として命を貰うとか聞こえた」


「「あっ....」」


何かを察した2人はそれ以上何も言えなかった。


「折角楽しかったのに、短い...本当に短い神生だったな....」


「まぁそれもまた人生じゃ」


「ははっ、そうだな....」


「................」


「................」


「................」


「................」


「「「誰?!」」」


ラズル達の前にはいつの間にか幼い少女が立っていた。


その少女は長く真っ黒なサラサラ髪を白い紐で結び、目も黒、着ている着物も黒と、全身が黒いのにも関わらず肌は雪の様に真っ白という何とも不思議な雰囲気を漂わせる少女であった。


「そなたらが先程から話しとる魔剣....いや、どちらかと言うと魔刀かの?」


「生まれて約10数年....ようやく主と認められる者が現れた!」


「さぁ主よ!妾の力を授ける代わりにそなたの命を貰おう!」


力を与える代わりにラズルの命を貰おうとする少女、もとい魔刀。その様子を見ていたグラウィスとルルは止め様とするが、何故か身体が動かなかった。


そして当の本人であるラズルはと言うと....













「あ、いや結構です。力とか全然要らないんで、ほんとそういうの迷惑なんで先程のケースにお戻り下さいませ。そして願わくば2度と俺の前に姿を現せないで下さい」


淡々と目の前の少女に向かってそう言い切った。

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