夏休み[4]
ラズル達はララとロロに案内された鍛冶屋へと来ていた。
「ここだよ~」
「おー、これぞ鍛冶屋!って感じだな」
「こ...ここは!」
「何だグラウィス、ここ知ってんのか?」
「それは勿論!ここはこの王都の中でもトップクラスの鍛冶屋ですよ?!」
「へー、そんな凄い鍛冶屋なのか」
「もう見飽きたけどね....」
「ん?どういう事だ?」
「ここは私達の家なんだよ」
「え、マジ?」
「マジ~」
「ここがララとロロの家?!うわぁ、友達の家に行くの初めてだよ!」
「友達の家に遊びに行く....ふふふ、また1つ願いが叶いました」
「ラズルさん、何だかこういう時の2人怖いです」
「大貴族様は色々とあんだよ。そっとしておいてやれ」
「斧!斧はありますか?!」
グラウィスは有名な鍛冶屋という事もあり、とても興奮した様子でララに詰め寄る。
「勿論あるよ!」
「大体はお父さんが打ってるんだけど、そんじょそこらの鍛冶屋よりも出来は良いよ~」
「ほー、そりゃ楽しみだ」
「ララさんとロロさんが打った物もあるんですか?」
「それも勿論あるよ!....でもまぁお父さんのには敵わないけどね」
「それでも武器を造れるなんて凄いです!是非見てみたいです!」
「あんまり期待はしないでね~?」
「ほらお前らー、早く中に入るぞ」
「あっ!ラズル待っ....」
ラズルが鍛冶屋の扉を開けると、中から身長140㎝程の立派な髭は生やしているが、髪の毛の方はあまり生えていない小さな男が現れた。しかし、小さいと言ってもその身体はまるで鋼の様な筋肉に覆われており、かなりの年に見えるがとてもひ弱そうには見えなかった。
「おう。お客さんかい?」
「ああ。色々と見させて貰うぜ」
「後ろの奴らも....ってララ?!それにロロまで?!」
「あ、もしかしてララとロロのお父さん?」
「............」
「あれ?お父さーん?」
「貴様なんぞにお父さんと呼ばれる筋合いは無いわぁぁぁぁぁ!!!」
「ごふぅ!」
ラズルは突然ララとロロの父親と思われる男に殴られ、店の外まで吹き飛ばされた。
「あちゃー....遅かったか」
「全く、相変わらずだな~」
「「「「....へ?」」」」
その光景をララとロロはやれやれといった様子で、他の者は突然の父親と思われる人物の行動に開いた口が塞がらなかった。
「..っ!痛ててて....」
「ラズル~大丈夫~?」
「ああ....問題無い」
「家のお父さんが本当にごめんね~」
「....あれお前らの父親?」
「そうだよ~」
「はははは!何だ、じゃあご挨拶しないとな!」
そう言うとラズルの姿が消え、店の中からラズルとララとロロの父親の声が聞こえて来た。
「いきなり何しやがんだこんの糞ハゲがぁぁぁぁぁ!!!」
「誰がハゲだこの糞ガキャァァァ!!」
「お?そんな口利いて良いのかな?こっちには秘策があんだぞ?」
「やれるもんならやってみやがれ!」
ラズルと父親はお互いに店内に怒声を響かせながら子供の様に取っ組み合っていた。
「ちょ?!ラズルさんストップ!ストップ!」
「良いぞラズル!そこだよ!そこ!」
「ラズル良いぞ~もっとやれ~!」
「2人共辞めたげて!お父さんの心のライフはもう0ですよ?!」
「じゃあ遠慮無くやってやらぁぁぁ!!」
「ふんっ!貴様の様なガキに何が出来るってんだ!」
「1本~2本~3本~」
するとラズルはスキルをフル活用しながら父親の残り少ない貴重な資源を1本1本数えながら抜き始めた。
「辞めろぉぉぉぉぉ!!!今や儂の髪の毛1本2本はそこら辺にある武器の1本2本より大切なんだぁぁぁぁぁ!!!」
「馬鹿野郎っ!武器より髪の毛が大事な鍛冶屋があるかい!」
「へぶしっ!」
ラズルと父親の醜い争いは、騒ぎに駆け付けた母親により何とか収まったのであった。
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「随分と下が騒がしいから何事かと思って来てみれば....あんた娘の大切な友達をいきなり殴り飛ばすとは一体どういうつもりだい?!」
「....だって大切な娘が男連れて来たんだもん」
((((あ、さっきの子は間違い無くこの人の子供だ))))
クイナ、フラン、アリア、グラウィスの気持ちが一致した。
「何が「だもん」だ気持ち悪い!早く謝りな!」
「....すまなかったな」
「いや、俺も貴重な残り毛を3本も葬ってしまって申し訳ない」
「もう!お父さんったら毎回そうなんだから!ラズルじゃなかったら大怪我だよ!」
「少しは反省してよね~」
「わ、分かりました....」
自分の娘にまで気圧されている父の姿を見て、何となくこの家での力関係が分かった瞬間であった。
「....ところでお前さん達は武器を見に来たのか?」
「ああ。俺とそっちの奴は新しいのを探しに、他の奴らは自分達の武器を見て貰いに来たんだ」
「成る程な。ここにある物は自由に見て構わない。そちらのお嬢さん方の武器とやらはこっちに持って来てくれ。直ぐに見よう」
「は、はい!」
「じゃあグラウィス、適当に見させて貰うとするか」
「そうですね。俺は斧を見て来ます!」
グラウィスは様々な武器のコーナーがある中、目を輝かせながら子供の様にはしゃぎ、一目散に斧のコーナーへと向かって行った。
「じゃあ俺は....まぁ何でも良いが取り敢えず剣から見ていくか」
ラズルも適当に武器を見ながら店内を歩いていると、先程聞いたばかりの男の子の声が聞こえて来た。
「どうしたんだよ母ちゃん、大きな声出して....って!お、お前はあの時の!」
「ん?あー、あん時のガキんちょか」
「ガキじゃねぇ!」
「家にまで来て....やっぱりお前姉ちゃん目当てだな!」
「うーん、これも中々だが少し耐久力がなぁ....」
「無視すんな!」
「なぁなぁガキんちょ、何か俺にオススメの良い武器とか無ぇか?」
「ガキって言うな!....それにお前なんかに武器の何が分かるってんだ!」
「俺が聞いてんのは俺に合った良い武器があるか無いかなんだが?」
「......ふんっ!じゃあそこで待ってろ!」




