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学園祭[24]

「私が1番~!」


「くっ...!負けたわ....」


「はぁ..はぁ...走らないでって言ったのに....」


ロロ、セロス、クイナの3人は話が終わった後、食堂まで誰が1番早く着くか競争をしていた。


結果は、1位は小柄で身軽なロロ。2位はあまり動かないというイメージの王女にしてはかなりの身体能力を見せつけたセロス。そして、本来であればぶっちぎりの1位である筈が、2日酔いによりぶっちぎりのビリとなったクイナ。


3人に前までの嫌悪感などは全く無く、(むし)ろ仲(むつ)まじい関係の様に見えた。 


一方ラズル達は……


「......それでですね?その時自分でお漏らししたのにセロス様は私のせいにしたんですよ?!酷くないですか?!」


「あー....何かその光景凄く想像出きるわ」


「へぇー、セロス様にそんな過去が....」


「従者の方も大変なのですね....」


「王女様でもやっぱりそういう事あるんだね」


「そーなんですよ!昔から私はセロス様の我が(まま)に振り回されて来たんですよ!」


「............」


「っ!セルヴァさんうし...っむぐぅ!」


いつの間にかセルヴァの背後に立っていたセロスに気が付いたアリアは、その事をセルヴァに伝えようとするが、ラズルがアリアの口を手で塞ぎ、それを全力で阻止をした。


「え?アリア様今何か?」


「いや、何か食い物喉に詰まらせたみたいだ」


「大丈夫ですか?!」


「大丈夫大丈夫。もう取れたみたいだから話を続けてくれ」


(「........ラズル君、良いのですか?」)


(「だってこの方が面白そうだろ?」)


(「セロス様は裏で問題児と呼ばれているのですよ....」)


(「とにかく大丈夫だって」)


「......で、その時はセロス様が落とした(つぼ)の責任も片付けも私がですね........」


「............」


しばらくセルヴァのセロスへの不満は続き、それをセルヴァの背後に立っていたセロスは黙って聞いており、ラズル以外は一体どんな顔をしていれば良いのか分からなかった。


「..........と、そんな困ったセロス様なんですけど、昨日こんな事を言われたんです」


「昨日私がお風呂から上がった時、セロス様は何故か泣いておられたんです。顔を鼻水や涙でグシャグシャにしたまま私に抱き付いて来てですね」


「お風呂上がりという事もあり私は困っていたのですが....少し経って落ち着かれると、私に抱き付いたままいつにもなく真面目なお顔で小さくこう言ったんです」


「『いつも私のお世話をしてくれてありがとう....いつも私の文句や我が儘を聞いてくれてありがとう......』」













「『いつも私の傍に居てくれて本当にありがとう』....と」


「............」


「その時のセロス様は今までに見せられた事の無い程美しく、真っ直ぐな笑顔でした....」


「そう言った後直ぐに寝てしまわれたので、結局何があったのかは分からないのですが....私はそれが嬉しくてたまりませんでした」


「..っ!」


セルヴァは微笑みながら何があったか分からないと言いながらも、その目はしっかりとラズルを捉えていた。


「ふふっ、そして寝てしまわれたセロス様をベッドに運んだ後に、セロス様が寝言で『セルヴァ~...大好き~』と呟かれましてね?」


「なっ!///」


「だから私もお返しにセロス様の耳に近付いて言ってやりましたよ!」


「....『私も大好きですよ』って」


「............」


「あはは...後々少し恥ずかしくなっちゃいましたけどね」


「でもあの問題児と言われたセロス様が何だか別人みたいでしたよ......まるで生まれ変わったみたいに」


「まぁどんなセロス様でも私が仕える大切なご主人様には変わり無いんですけどね!」


セルヴァは冗談めかしく、少し照れ臭そうにしやがらセロスへの思いを告げる。しかし、その晴れやかな笑顔が確かに冗談ではない事を示していた。


「............」


「いや~こんな話セロス様に聞かれたら大変ですよ~」


「いやその...凄く良い話の所悪いんだが....後ろにスペシャルゲストがいらっしゃってるぞ?」


「え?スペシャルゲスト?」


セルヴァが後ろを向くと、そこには怒りのせいか照れのせいか、顔を真っ赤に染めたセロスが立っていた。


「シェ、シェロス様?!」


「誰がシェロスよ....セルヴァ、全部聞かせて貰ったわ」


「いやあの!ち、違うんで...!」


セルヴァが必死に言い逃れをしようとすると、突然セロスがセルヴァへ抱き付いた。


「ええっと....セロス様?」


「....ありがとう」


「!....ふふふっ、一体何の事だか分からないですね」


「ふふっ...ならそれで良いわ」


「それじゃあまたね。朝食は食べられなかったけれど...お陰で楽しかったわ。また....良いかしら?」


「当然だ。今度は一緒に飯食おうぜ」


「次は絶対に負けませんからね!」


「次も私が勝つよ~」  


「ふふふ、楽しみにしておくわ」


「....そういえばセルヴァ、あなたさっき私の事随分と楽しそうに話してたわよねぇ?」


「え?」


「これはちょっとお仕置きが必要かしらね」


「ちょ、ちょっと待って下さい!」


「じゃあセルヴァ、来なさい」


「一体何の事だか分からないですぅぅぅ!!」


食堂にセルヴァの悲鳴が響き渡り、そのまま2人は去って行った。


「....本当に変わったんですかね?」


「....多分な」

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― 新着の感想 ―
[良い点] ここまでの章を読みました。私はこの仕事に不慣れで、とても気に入っています。 [一言] まぁ、将来的には姫もヒロイン候補になると思いますが、将来的にはまだまだ可能性はあると思います。
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