学園祭[19]
自分達の店へと戻ったセロスは何度かラズル達をチラチラと見てはいたが、特に何もしてくる訳ではなく大人しくしており、学園祭3日間の中で今日だけはクレームが1件たりとも入らなかった。
「やっぱ最終日ってだけはあって今までで1番忙しいですね....!」
「今が1番客が来る時間帯だからこれを乗り切ったら後は楽だ!気合い入れてけ!」
学園祭最終日、ピークも過ぎ、いよいよ終了の時間となった。
『時間となりましたのでこれにて学園祭を終了とします!』
学園内に終了のアナウンスが入ると、ホール内に溢れかえっていた客が次々とホールを出ていく。
「はぁ..はぁ...ようやく時間ですか」
「あ、暑い~....」
厨房で料理をし続けていたクイナとロロは汗だくであった。
「早くお風呂に入りたいです....」
「私も入る~....」
「ははっ、片付けてからな」
「....ラズルさん全然汗かいてないじゃないですか」
「おう、常に魔力で冷気を纏ってたからな」
「あっ!ずるい!何で私達にもやってくれなかったんですか!」
「いや、あまり冷気を出し過ぎると料理冷めちゃうだろ?俺の周りにしか纏えなかったんだよ」
「本当は?」
「やろうと思えば出来た」
その後全く汗をかいていなかったラズルは、汗だくのクイナとロロに揉みくちゃにされて汗だくとなった。
「お前ら何て酷い事を....」
「これでお揃いですね!」
「お揃い~」
汗だくとなった自分の身体を見て嘆くラズルに、クイナとロロは微塵の悪気も込もっていない満面の笑みを向けたのであった。
「はぁ....俺も部屋に戻ったら風呂だなこりゃ」
「さぁ!早くお風呂に入る為にも片付けを済ませちゃいましょう!」
「お~!」
「ったくこいつらは....」
呆れながらも少し嬉しそうなラズルは片付けをしているグラウィス達と協力して店を解体していった。
建てるのにはかなりの時間が掛かったが解体にはそこまでの時間は掛からなかった。
「何だか寂しいですね」
「....造る時はあんなに苦労したのに壊すのは随分と楽なもんだな」
「ラズルー!」
「お、向こうも終わったみたいだな」
「皆さんお疲れ様です」
「ロロ、ちゃんと仕事は出来たの?」
「当然~」
「何だか久し振りに皆揃ったって感じだね!」
「皆それぞれ練習が終わる時間が違いましたからね」
「あ、演劇の方はどうでした?」
「それはもう大人気だよ!」
「ほー、ララ監督のご指導が実ったのか」
「皆しっかりと練習してくれたから凄く演技が上手くなったんだよ」
「おー、頑張ったな!」
「えへへ、もっと褒めて良いよ!」
「私は私の出来る事をしただけですから」
それぞれ反応は違えども2人共照れている事には変わりなかった。
「じゃあ久し振りに皆揃った事だし打ち上げでもするか!......と、言いたい所なんだが」
「悪いがまず先に風呂に入らせてくれ。身体中ベタベタして気持ち悪いんだ....」
「そう言えば皆凄い汗だね」
「いやー、頑張ったので!」
「大変だったね~」
「....俺は全部こいつらのせいだ」
「じゃあ僕達は先に食堂に行ってるからお風呂に入ったら来てね!」
「おう。なるべく早く行く」
「お風呂です!」
「いざ出陣~!」
クイナとロロは直ぐ様風呂に入る為に駆け出した。
「俺も入って来るか」
「そんなに急がなくても大丈夫ですからごゆっくりどうぞ」
「じゃあそうさせて貰うとしよう」
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「あー、疲れた」
自分の部屋へと戻って来たラズルは風呂に入るよりも先にベッドへと倒れ込んだ。
「あっ、そうだ」
「【召喚魔法】ネラ」
接客が終わった後に疲れて寝てしまった為、異空間へと入って貰っていたネラを呼び出す。
「キュウゥー!」
「おはようネラ、早速だが一緒に風呂入るか?」
「キュウ?キュイ!」
ネラと共に風呂場へと向かい服を脱ぎ、軽く身体を洗った後に風呂へと浸かる。
「あぁ~生き返る~」
「キュ~ウ♪」
「ネラ....お前もう生後2ヶ月なのに中々大きくなんねぇな」
ネラが産まれてから約2ヶ月。最初は全長50㎝程であったネラの身体はあまり大きくなっていなかった。
「キュウ?....キュイィ!」
「ん?どうした?」
ネラは1度風呂から上がると、見る見る内に身体が大きくなり始めた。
「え?ちょ、待て!落ち着け!こんな狭い所で急にそんな大きくなるな!」
「キュウ♪」
先程まで全長50㎝程であったネラの身体は、今や全長2m以上はある。おかげさま狭い風呂場は更に狭くなり、ラズルは壁へと押し付けられていた。
「痛い。ちょ!ネラさんこれマジで痛い!」
「キュウ?」
「「キュウ?」じゃねぇよ?!元の大きさに戻れ!いいや戻って下さい!」
「....キュイキュイ」
やれやれといった様子でネラは元の全長50㎝程の大きさに戻る。
「はぁ..はぁ...危ねぇ自分の使い魔に殺される所だった....」
「いつの間にかあんなに大きくなってたのか....」
「何で今まで隠してたんだ?」
「キューウ....キュイ!」
「あー成る程サプライズかぁー........」
「お前サプライズで主人を殺めようとしたの?!」
「...キュイィ....」
ネラはラズルから顔を背けて再び風呂へと浸かる。
「え?最近俺に構って貰えなかったから寂しくて驚かせようとした?」
「....キュウ」
「............」
「可愛い過ぎんだろぉぉぉぉぉ!!!」
「ごめんな?!今度からお前と遊ぶ時間も増やすからな?!」
「....キュイ?」
「本当だとも!もう次の合宿まで大きな行事も無いからたっぷりと遊べるぞ!」
「キュイ?!キュウー!!」
ネラは喜びのあまりラズルの顔をペロペロと舐め始めた。
「はははっ!くすぐったいって!」
「キュウ~♪♪」
「あ、そうだネラ」
「キュウ?」
「どうやってそんな身体を縮めてんだ?」
「キュイ!」
「成る程!スキルか!」
「..........」
「良くこの世界の人間はこれで納得出来るな....」




