守り神の正体[2]
「とは言ったものの、素手でアイツを殴るのは抵抗あるな...」
「私もアレに触れるのは嫌です...」
「辺りに落ちてる武器でも使うか?」
「私短剣位しか使った事無いんですけど大丈夫ですかね?」
「丁度あそこに良さそうな短剣が落ちてるじゃねぇか」
「えっ!何処ですか?」
「ほらっあそこだよあそこ」
ラズルが指を指した先には、謎の生物から3メートル程の距離に落ちている柄頭に白い宝石が埋まった短剣があった。
「あんなのどうやって取れって言うんですか?!近付いたら攻撃されますって!」
「何かこう...触手を躱わしつつサッ!と」
「だったらまずラズルさんがあの剣取ってきて下さいよ!」
クイナも謎の生物から1メートル程の距離に落ちている一般的な剣を指差す。
「いやー、俺はもう武器あるから遠慮しておく」
「え?何処に持ってるんですか?」
「ここ」
ラズルは【収納箱】から漆黒を凝縮したかの様な禍々しい黒剣を取り出した。
「何ですかそのスキル?!ってかその剣、雰囲気が何かヤバそうなんですけど大丈夫なんですか?!」
「これはいつでも、何処でも、いくらでも物が出し入れ可能な不思議な穴だ」
「何ですかその超便利なスキル?!」
「そしてこっちが俺の愛剣である【破壊神剣デストルクシオン】だ」
「とてつもなく物騒な名前!」
「ルーちゃんと呼んでくれ」
「と思ったら呼び方は可愛かった!」
「いやでもなぁ...これ使っちゃったらなぁ...
うーん、どうしたものか」
「何か問題でも?」
「いや、簡単過ぎてつまらなくなるからやっぱ辞めた」
登場してから1分足らずで【破壊神剣デストルクシオン】通称、ルーちゃんは【収納箱】へと退場した。
「あの剣を取ってくれば良いんだな?」
「いやっ、あれは冗だ..」
(『身体強化』、『瞬速』)
「?!」
その瞬間ラズルの姿は消え、いつの間にか先程指差した剣と短剣が無くなっていた。
「ラズルさん?!何処へ行ったんですか!」
「アナタノウシロニイマスヨ」
「きゃぁぁぁぁ!!!」
「ハハハ、良い反応するじゃねぇか」
「本当に辞めてください!心臓止まるかと思いましたよ!」
若干涙目になりながらクイナはラズルへと文句を言う。
「お前こういうの苦手なのか?...これは良い事を知れたな」
「ぜ、全然苦手なんかじゃありません!苦手ではありませんがさっきみたいな事はもう絶対にしないで下さい!」
「涙目で言われても全く説得力が無いな」
「それよりほれっ、お前の短剣だ」
「グスッ、私の分まで、取ってきてくれたんですか?」
「俺の剣を取りにいったついでだ。それやるから機嫌直せ。な?」
「...今回だけは許して上げます」
「良し、じゃあ武器も揃い準備も出来た事だし、そろそろおふざけは終わりにして本格的に殺るか」