学園祭[13]
「この時間は外は警備係がうじゃうじゃ居るし、何よりもホールには鍵が閉まっている。となると侵入は不可能.....」
「だがしかーし!この大泥棒ラズル様にかかりゃー容易く侵入出来る!」
「キュウ....!」
ラズルが急に大きな声を出した為、気持ち良さそうに寝ていたネラがビックリして起きてしまった。
「あ、ごめんなさい」
「....キュウ」
やれやれといった様子でネラは再び夢の中へと戻って行った。
(「じゃあ早速この大泥棒ラズル様が厳重な警備を切り抜け、解くのが難解な鍵を物ともせずに突破してしんぜよう!」)
皆が完全に寝静まるのを待っていたラズルは完全に深夜テンションであった。
(「ではいざ....!」)
「【転移】」
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「はい侵入成功っと」
「全く王都1の学園がこの程度の警備で大丈夫なのかね」
「本当拍子抜けだっ....」
ビーッ!ビーッ!ビーッ!ブビーッ!ビーッ!
ラズルがホールに入った瞬間に警鐘が鳴り響いた。
扉の鍵が開けられ次々と警備員が入ってくる。
「何者だ!」
「探せ!必ず何処かに居るぞ!」
ホール中を捜索していく警備員達。ラズルは警鐘が鳴った瞬間に直ぐ様【気配遮断】を使い、姿や気配を完全に消していた。
「....居ないな」
「警鐘の不具合か?」
「いや....でもそんな事あるか?」
「だが実際何処を探しても誰も居ないぞ」
「まぁ待て待て、侵入者が居たとしたらこの儂が見逃す筈が無い。儂はこの仕事を40年もやってきたベテランじゃ、もし侵入者を見逃す様な事があれば儂はこの仕事を辞める」
「確かに....ベンさんが侵入者を見逃すとは思えませんし、警鐘の不具合の可能性が高いと思います。明日上に警鐘の確認をして貰う様に言っておきます」
「うむ。頼んだぞ」
結局警鐘の不具合という事で警備員達はホールから出て行った。
「危ねぇ...まさか入った瞬間に警鐘が鳴るとは....流石王都1の学園、中々に侮れんな」
「てか警鐘に紛れて屁こいた奴誰だよ。音的にちょっと物が漏れてんだろ」
「そしてあの爺さんドヤ顔でベテラン名乗りながら俺見逃してるし......後で他の仕事を紹介してやらないと」
「さて、これは【気配遮断】し続けないといけないな」
「何度見てもこっぴどくやられてんなぁ....ま、頑張りますかねっと」
ラズルは【収納箱】から材料と道具を取り出し、1人で店を建て直し始めた。
極僅かでも神力を解放しているラズルの速さは軽く音速を越えており、みるみる店が直っていった。
完全に力をコントロールしているラズルはどれだけ速く動こうと衝撃波などは一切発生せず、材料と道具も圧倒的速さによって壊れない様に神力で保護している。
ほんの数分の間に何も無かったスペースに壊される前の姿そのままの店が建っていた。
「ふぅ....こんなもんか。もう壊される訳にはいかないから店を神力を保護しておかないとな」
「やっぱりロロの様にそう上手くはいかないか....」
「明日ロロ親方に見て貰うとしよう」
「...さってと、俺達の店はこれで良いとして....」
ラズルはセロス達2年Bクラスの立派な店を見る。
「本当はこのまま壊してやりたいが....どうせなら1番壊されて嫌なタイミングで壊してやりたいな」
「でも腹いせにちょっとした嫌がらせはしておこう」
「まずは引きドアを押しドアに改造して....次に中の飾り付けの場所をバラバラにして....2年Bクラスの看板の2年に少し足して3年にして........」
その後しばらくラズルの細かい嫌がらせは続いた。
「最後はそうだな......」
「鼻くそ付けとこ」
「良し!これで完璧だ!」
「あー、心も鼻もスッキリした」
「明日が楽しみだなぁ~。ふっふっふ」
後にパンツが少し茶色くなった自称ベテラン警備員が夜中のホールの中、男の不気味な笑い声が聞こえたと語る。
他の警備員はそれを耳が遠くなった老人の戯言として水に流していた。




