学園祭[10]
ラズルは店造りの材料や道具を【収納箱】へ入れ、クイナとロロと共に再びホールへと戻って来た。
「ここにさっき設計した店を建ててくれ」
「分かった~....ん~?」
「どうしました?」
「本当にここ~?」
「ん?ああ。そこの筈だが....」
「ここに2年Bクラスって書いてあるよ~?」
「っ!....本当に2年Bクラスって書いてある札が掛かってます!」
「あ?そんな訳無いだろー?ここは確かに俺達が取った場所の筈だ。札もしっかり掛けたじゃ....ほんまや2年Bクラスって書いとる」
「どういう事でしょう?」
3人が困惑していると新たな団体がホールへと入って来た。
「あ!あんたら私達の場所の前で何やってんの!!」
急に大声を出して怒鳴って来たのは団体の先頭に立つ女子生徒。肩程まで伸びた金色の髪を巻いている黒目の美しい少女であった。
「は?」
(「..っ!ラズル、これはちょっと不味いかも~」)
(「ん?」)
「「は?」じゃないわよ!ここは私達、2年Bクラスの場所だっつってんの!」
「何を言っている?ここはさっき俺達が取った場所だ」
「はぁ~?あんたこそ何言ってんの?ここは今私達が取った場所なの!言ってる事分かる?!」
「ざけんな!ここに俺達1年Aクラスと書かれた札を掛けといただろうが!」
「1年Aクラス?あー、あのクラス対抗戦で派手にやってたクラスね」
「それで?」
「あ?」
「札を掛けておいたから何?」
「....お前まさか札が掛かっているのを分かった上でこの場所を取ったのか?」
「ええそうよ?何か文句でもある?」
「場所取りに関しては他のクラスと被った場合話し合いで決まる筈だよな?」
「そうだったかしらー?覚えて無いわね」
「..........」
「あらもう終わり?だったら早くどっか行ってくれないかしら?準備の邪魔なんだけど」
少女は勝ち誇った顔をラズルへ向ける。
「クイナ、札」
「え?え?は、はい」
ラズルは2年Bクラスと書かれた札を外して遠くへ投げ捨て、1年Aクラスと書かれた札を再び掛け直す。
「あ!あんた何してんのよ?!」
「ん?いやこの場所が良いと思ったから俺達1年Aクラスの札を掛けただけなんだが?」
「ふざけるんじゃないわよ!」
「ふざけてる?ふざけてるのはてめぇだろうが」
段々とラズルの周りを漂う空気が変わり始めた。
「こ、この私に良くもそんな口を聞けたわね!!」
「あぁ?てめぇなんぞ知らねぇよ」
「...っ!この私を知らないですって?!」
「良いわ!じゃあ教えて上げる!」
「私の名前はセロス・バシレウス!どう?ようやく自分の立場が分かった?」
「誰だお前?」
「はぁ..この名前を聞いても分からないなんて....あんた相当無知なのね!」
「どうせまた貴族だとか大貴族だとかほざくんだろ?」
「あはははは!私はそんなんじゃないわ!」
「聞いて驚きなさい!私はこの〈王都カピタール〉の第2王女よ!」
「それで?」
「なっ!私は第2王女なのよ?!」
「はぁ...どうもやっぱりこういう貴族や王族は苦手だ」
「ハッキリ言うがお前が貴族だろうが大貴族だろうが王族だろうと関係ねぇんだよ」
「........」
「お、どうしたどうした?もう終わりか?だったら俺達これから準備あるからさ、邪魔だからさっさとどいてくれ」
「あ、場所取りのちゃんとした話し合いなら勿論良いぞ」
「いいえ、良いわ。そっちがその気ならやってやろうじゃないの」
「ん?ここはもう良いのか?話し合いなら受けるぜ?」
「もういいっつってんの!行くわよ!」
「あんた....絶対に後悔するからね」
去り際にラズルにだけ聞こえるようにそう言い残し、セロスは団体を引き連れ帰って行った。
「何だあいつ」
「何だか色々と...凄い人でしたね」
「あの王女様は王族内で問題児扱いされてるんだよ~」
「そりゃあの性格じゃ問題児扱いもされるわな」
「ラズルさん王族の人に凄い喧嘩腰でしたけど大丈夫でしょうか....」
「あいつの性格上、間違いないなく何かしら仕掛けて来るだろうな」
「ヤバいじゃないですか?!」
「大丈夫大丈夫。仕掛けて来るっつっても俺に来るだろうし」
「そういう問題じゃないです!」
「だから大丈夫だって。たかが小娘1人の報復なんざちっとも怖くねぇよ」
「いやでも....!」
クイナがまだ何か言おうとした瞬間にラズルの手がクイナの頭の上に置かれた。
「そんな心配すんなって、俺は大丈夫だから。それとも俺を信じられないか?」
「....いいえ」
「なら早く店建てようぜ!」
「........いつもラズルさんはズルいです...そんな事言われたら何も言えないじゃないですか....」
その後ロロの指示に従いながら店を建てていき、途中でグラウィスや男子生徒達とも合流し、段々と店も完成に近付いていった。
「ふぅ....建物を建てるなんて初めてだが意外と面白いもんだな」
「皆で協力して何かを造るっていいものですよね!」
「グラウィス、もう元気になったみたいだな」
「ええ!もうピンピンしてます!」
「それは良かった!もう準備時間終わるから、今から教室に戻る所だったんだよ」
「それでどうも他のクラスなんかの邪魔になっちゃうから、材料や道具は教室に持って帰らなくちゃならないそうなんだよ」
「そうなんですか!」
「そうなんだよ!」
「........」
「........」
「じゃあ頼んだぞ」
「....ははっ、明日は筋肉痛ですね」




