学園祭[2]
転移で元の世界の自分の部屋へ戻ってきたラズルは、直ぐ様漆黒の髪と目をそれぞれ純白、金色に戻した。
「向こうに居たのは大体2時間位か。この世界の時間差は....お!4分の1か。て事はまだこっちだと30分しか経ってねぇな」
「帰って来たらクイナ達が全員婆さんとかマジで笑えないから良かった....」
「何ならまだクラス対抗戦やってるか?」
「まぁ良いか、取り敢えず....」
「アリアのお見舞いだな」
ラズルは部屋を出て保健室へと向かった。
保健室の扉を開けると中には様々な薬品や治療器具が置いてあり、ベッドもいくつか置いてありその中の3つが使われていた。
1つ目は顔も知らない男子生徒、2つ目は悪夢でも見ているかの様に魘されているグラウィス、3つ目はグラウィスとは反対に静かな寝息を立ててぐっすりと眠っているアリア。
「グラウィス....良い夢見ろよ」
ラズルは魘されているグラウィスに対し手を合わせてお辞儀をしてからアリアの元へと向かいアリアの寝顔を見つめる。
「ははっ、こんなにも気持ち良さそうに寝ていやがる。全く....」
ラズルはとても穏やかな顔で微笑みながらアリアの頭へと手を伸ばし....
「何気持ち良さそうに寝てんだこのボケが!」
寝ているアリアの額に全力のデコピンを叩き込んだ。
「ちょっ!え、え?痛いっ!」
ラズルのデコピンを食らったアリアは飛び起き、目に涙を浮かべながら額を押さえる。
「はーいお嬢様、良い夢見れたかい?」
「ラ、ラズル君?!」
「もう身体は大丈夫そうか?」
「は、はい。大丈夫です」
「えっと...ここは?」
「保健室だ。お前が魔力切れで急に倒れたから保健室に運ばれたんだよ」
「そ、そんな....」
「どうしてあんな無理をした?」
「...私は的当てで無様な姿を見せてしまいました。だから団体戦では皆さんに迷惑を掛けてはいけないと思って....」
「はぁ...何でクイナもフランもお前も周りの為に自分を犠牲にするかね」
「団体戦って何だ?」
「....仲間と共に戦う事です」
「そうだ。団体で戦うから団体戦だ」
「お前がやった事は個人戦だ」
「俺達は5人も居んだぞ?お前がきついのであれば他の4人全員で何とかする。他の誰かがきついのであれば他の奴ら全員で何とかする」
「団体...仲間ってのはそういうもんなんじゃねぇか?」
「辛い時は誰かを頼れ、助けを求めろ。もしそれでも申し訳ないと思うのであれば遠慮なく俺に言ってくれ。必ず力になろう」
「......」
「じゃあそろそろ俺は戻る。しっかりと身体を休めろよ」
「....ありがとうございます」
「おう」
「...ラズル君が1番自分を犠牲にしてるじゃないですか」
ラズルが保健室を出た後にアリアは1人ぽつりとそう呟いた。
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ラズルは保健室を後にすると闘技場へと向かった。
「やべぇ、後々の事全然考えずに来ちまった...クイナとフランにどう説明したもんかね」
「「....あ!ラズル(さん)!」」
「あ」
「何処行ってたんですか?」
「あーそのー、アリアのお見舞いにな?」
「正直に言って下さい」
(あれ、クイナの後ろに何か見えるのは気のせいだろうか)
「えーっとですね....実は………」
ラズルはその場で正座させられながらマギアとの出来事を少し伏せながらクイナとフランに話した。
「成る程....簡単に言うとマギアさんが親に捨てられてしまったと聞いてラズルさんがマギアさんの頼みを聞いて上げて今は知り合いの元に預けたという事ですか?」
「はいそうです」
(うん、嘘ではない!)
「それでラズルあんなに怒ってたのか」
「....ラズルさん、私達もラズルさんに助けられた身でこんな事言うのもおかしいとは思いますが、お願いですからせめて一言説明して下さい....」
「...分かった。今度からはお前達にもちゃんと説明してから行くよ」
クイナの真剣な顔を見たラズルも真剣に言葉を返す。
「はい!」
「そうだ!ラズル、アリアどうだった?!」
「ああ、もう大丈夫だ。今はゆっくり身体を休めてる」
「良かったぁ...」
「あ、そういえばアリアに俺らのクラスが1位になった事伝えるの忘れちまった」
「じゃあアリアさんが元気になったら教えて驚かせてやりましょう!」
「良いね!」
「「「あはははは!」」」
(あれ、誰か忘れてる様な....まあいっか!)




