破壊神の仕事[3]
「着いたぞ」
「....懐かしい」
「ん?もしかしてお前この世界に住んでいたのか?」
「うん。この世界の何処かに僕の家がある」
「恐らく奴はそこだな。【捜索】」
「..見つけた。多分向こうも気付いてるだろうな」
「じゃあ行くぞ」
「........うん」
「【転移】」
転移した先にはとても豪華な屋敷が建っており、ラズルが転移した瞬間に中から慌てた様子でマギアの父、トイフェルが出てきた。
「..!こ、これはこれはラズル様!こんな所まで良くおいでくださいました。私は上級魔神のトイフェルと申します」
トイフェルは最高破壊神であるラズルに対し畏縮しているようだった。
「....ところで、本日はどの様な御用件でしょうか?」
「それはこいつを見れば分かるんじゃないか?」
「ええとどちら様で....なっ!マ、マギア?!どうしてお前がここに?!」
「........」
「..心配したんだぞ!お前がアンジェにどこか異世界に転移させられたと聞いて気が気じゃなかったよ」
「....お父...さん」
「もしやラズル様が見つけて下さったのですか?」
「ああ。偶々俺が見つけたんで是非ともお前に会わせてやりたくてな」
「ありがとうございます。お陰様でまた再びこうしてマギアに会う事が出来ました!」
「マギアの母親はどこだ?」
「あ、アンジェは今仕事での別の世界へ行っているんですよ」
「....」
「そうか。早くマギアと会わせてやりたい。その世界の座標を教えてくれ」
「いえいえ!もう何日か経ったら帰って来ますので御気遣いなく」
「なぁ、お前の言うアンジェが居る世界ってのは....」
「"死後の世界とでも言いたいのか?"」
「?!」
一瞬だけ今まではまだ抑えていたラズルの神力が解放され、トイフェルの心は恐怖に染められた。
「ど、ど、どういう事でしょうか?」
「いや、もう良い」
まだ早いと判断したラズルは漏れ出す神力を再び抑え込んだ。
「最後にこいつに質問させろ」
「し、質問....」
「....お父さん、僕を異世界に転移させたのはお父さんなの?」
「........そうだ」
トイフェルはラズルの方をちらりと見て誤魔化せないと判断した。
「....そうなんだ....」
「お前もあの場に居たから聞いたとは思うが、実はアンジェからその事について話されて始めは当然反対していたんだが段々と説得されてしまってね....」
「....お母さんは?」
「......お前を無理やり異世界に転移させたのは当然捨てるためだ。その行為は『捨て子』と呼ばれる重罪だ。勿論僕も協力してしまったが主に計画したのはアンジェでね、僕はまだ軽く済んだけどアンジェは....」
「....分かった。じゃあ最後」
「........お父さんは僕の事どう思ってる?」
「何を聞いて来るかと思えば...そんなの大事な息子に決まってるじゃないか!アンジェが居ない今、僕の唯一の大事な家族....」
「"もう良い"」
「?!」
再びラズルから神力が溢れ、それだけでトイフェルは吹き飛ばされ屋敷へと衝突する。
「ラ、ラズル様!急に何を....」
「黙れ」
ラズルはトイフェルを空高く蹴り上げ、空中で蹴っては移動し蹴っては移動を繰り返す。ほんの一瞬しか経っていない筈がトイフェルは既に全身がボコボコになる程蹴られており、瀕死の状態で落ちてきた。
「起きろ。一応上級神なんだろ?」
「がはっ...はぁ..はぁ...わ、私が一体何を....」
瀕死状態であったトイフェルの傷が一瞬の内に無くなり直ぐ様回復した。
「....以前俺は家の為に娘に無理をさせていた父親に会った事がある。しかしだ、その父親は自分娘を想い何度も何度も苦しんでいた。実際娘に無理をさせなくて済むと知った時は心から喜んでいた。そこには確かな父親の娘...子供に対する愛情があった」
「てめぇとは違ってな」
「....はぁ...成る程、それでマギアを連れてここに来たって訳ですか」
「お父さん..?」
突然トイフェルの雰囲気が変わり、先程までの穏やかさは一切感じられなくなった。
「確かに僕はその人とは違いますね」
「僕が子供に求めるのはそんな親子の愛だとかそんな下らないものじゃない。利用出来るかどうかだ」
「こいつは上級魔神の僕と中級天神であるアンジェの両方の力を引き継いでいる。しかも既に神力は中級神レベル!その力を使いこなせたらそれはそれは凄さまじい力となる!」
「と、期待してたんだけどね....こいつは神力を使いこなせなかった。とんだ期待外れだよ」
「だから僕は異世界に捨てようと提案した。それなのにアンジェは神力もろくに使えないお前を大切な息子だと言い出してね....」
「..?!」
「だから僕は彼女を利用して彼女が主犯となるように仕組んだ。自分でも驚く位上手くいったよ」
「あの時お前があの話を聞いていなければアンジェは助かったかもね」
「なっ....そ、そんな....」
「マギア、お前は先に帰ってろ。ルチェの所に転移させる」
「嫌だよ!」
「悪い、そろそろ持たない。お前を巻き込む訳にはいかないからな」
「【転移】」
「...ちょっ!」
ラズルはマギアをルチェスの元へ転移させる。
「これでもう何も気にする事は無い....さて」
「久し振りの仕事だ」




