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破壊神の仕事[1]

ある日、とても幸せな夫婦に子供が出来た。夫婦はそれはそれは喜び、我が子が産まれて来るその日が待ち遠しくて仕方が無かった。


「トイフェル....もうそろそろよ」


美しい白色の髪と背中に2対の天使の様な翼を持つ女性が自分の腹をさすりながら呟く。


「..うん。未だに信じられないよ...僕が父親になるなんてね」


そんな女性の前に黒色の髪と背中に3対の悪魔の様な翼を持つ男性が座っていた。


「うふふ、ついに私もお母さんね」


「えっと....もう直ぐなんだよね?」


「ええ....後1ヶ月もしない内に産まれるわ」


「ああ、どんな子が産まれて来るんだろう。考えただけで楽しくて仕方無いよ」


「私とあなたの子よ?きっと強くて素敵な子に決まってるわ」


「そうだね...もしかしたら最高神になれるかも!」


「うふふ、それはいくら何でも無理よ」


「いいや!中級天神である君と上級魔神である僕の子供だよ?最高神も夢じゃないさ!」


「ふふっ、そうね」


毎日2人はとても楽しそうに産まれて来る子供の話をしていた。


そしてとうとうその時が来た....


「頑張れ!頑張るんだアンジェ!もう少しだ!!」


「うぅ..ああぁぁ....!」


アンジェは苦しそうな声を上げる。トイフェルはそんなアンジェの手を力強く握り締める。


「おあぁー!おあぁー!」


そうしてとても元気な男の子が大きな産声を上げた。


「アンジェ!やったぞ!産まれたぞ!」


「はぁ..はぁ...ふふっ、トイフェルはしゃぎ過ぎよ」


「当たり前だろ!こんなに可愛い子が産まれて来たんだ!嬉しいに決まってる!」


「ねぇ、あなたも抱っこして上げて」


「...っ!い、いや、大丈夫だよ」


「何を怖がってるのよ。お父さんなんでしょ?」


「........」


トイフェルはアンジェから恐る恐る我が子を受け取り、全神経を集中させて優しく抱いた。


「おっ、おっおっ、おぉ!.....うっ..うぅ....」


初めて抱いた我が子の重さを噛みしめながらトイフェルは涙を流していた。


「....ん?あっはは!親子で顔が真逆よ!」


「うぅ...え?」


トイフェルは泣き崩れているが抱かれている子供は笑っていた。


「ほらっ、子供にそんな顔見せるんじゃないわよ」


「うん...そうだね」


「ねえ....この子の名前はどうする?」


「えっと....実はもう決めてあるんだ」


「あら、毎日あんなに悩んでいたのに決められたの?」


「うん。結局最後まで悩んでたんだけどやっぱりこれが1番だと思ったんだ」


「何々?勿体振らずに教えてよ!」


「この子の名前は........」












「マギア」


「マギア....良い名前ね」


「魔神である僕と天神である君の子だからね。どちらを引き継ぐかはまだ分からないけど、どちらにしろこの子は凄まじい神力の才能を持つ事になる」


「そうね」


「これからこの子がどんな成長をするのか....とても楽しみだよ」


こうして幸せな夫婦に子供が産まれ、更に幸せな家族となった。


....しかしそんな幸せも長くは続かなかった。


マギアが産まれてからおよそ3年....幸せな家族を引き裂く出来事が起こった。


「お父さん...今日も神力の稽古?」


「勿論!良いか?お前は僕とアンジェの()()の素晴らしい才能を持っているんだ。お前なら上級神や最高神も夢じゃない!」


「でも...僕まだ全然神力使えないし....」


「これから使える様になれば良いさ!お父さんが教えてやるからな!」


「....うん」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


神力の稽古が終わり、マギアは自分の部屋で寝ていたが中々寝れずに家の中を歩いていた。


「早く僕もお父さんやお母さんみたいになりたいなぁー」


「神力を使えるようになったらお母さん褒めてくれるかな?」


「お父さんとも遊びたいな!」


「あれ?お父さんとお母さんの声だ!」


「ねえ....この前の話だけど」


「....ああ。マギアを異世界に転移させる事についてだよね?」


「?!」


マギアはあまりの驚きに扉の前で音を立ててしまった。


「ん?」


「どうしたの?」


「いいや、何でもないよ」


「その事ついてだが、当然僕は反対だ!マギアを別の世界に飛ばすなんて事出来る訳無いだろ!」


「え?あなた何を言って....」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「....こんな感じ。そこからは記憶が無い」


「お前の父親と母親は?」


「分からない....次に目覚めた時はもうこの世界に居た」


「成る程な...つまりお前の父親は望んでいなかったがお前の母親はお前を異世界に転移させる事を望んだって事か?」


「........うん」


(ふざけてやがる....本当にふざけてやがる)


ラズルの身体からおぞましい神力が溢れ出す。


「....っ?!」


「おっとすまねぇ。漏れちまった」


「...お前は母親を恨んでいるか?」


「..........」


マギアは少し考え、首を横に振る。


「そうか...なら良かった」


「嫌な事を思い出させてすまなかった」


「....別に良い」


「少し後で話があるからこの試合が終わったら俺の部屋に来てくれないか?」


「....?」


「お前にとって大事な話だ」


「....分かった」


「じゃあひとまずこの話は辞めるとして....この試合どうする?続けるか?」


「....いや、もう大丈夫」


「そうか」


マギアが神力を解き闘技場を覆っていた黒い何かが消えた。


「じゃあもう要らないな」


同時にラズルも結界を解いた。


「....降参」


『え?』


「降参」


『え?あ、ああ。分かった』


『勝負あり!勝者、ラズル選手』


『え?え?どういう事?』


「ラズル...さん?」


ラズルは急いで神力を解き、髪の色も漆黒から純白へと戻る。


『あれ?えーっと...え?』


『ゴホン..えー失礼しました』


『全てを掛けた大将戦を制したのは....』


『ラズル選手だー!!!』


『........』


未だに状況が理解出来ていない会場からは歓声は起きず、沈黙が続いていた。


「良し、行くぞ」


「....分かった」


「ちょ、ラズルさん?!どういう事で....」


「すまない、少し用が出来た」


「....用..ですか?」


「ああ。だから少し出る」


「...ラズル、用って?」


「....()()()


「仕事..?」


「悪い、急いでるからもう行くぞ」


「あっ....」


「何があったんだろう....」


「あんなに怒ってるラズルさん初めて見ました....」


「うん....何だかいつもと違って怖かったね」


「大丈夫でしょうか....」

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