神への貢ぎ物[2]
クイナの案内によりラズル達は〈神秘の洞窟〉へと着いた。
「ここか?」
「はい、ここです」
「んじゃ、早速行くか」
2人は〈神秘の洞窟〉へと入っていく。中は暗く、足元も見えない状態であった。
「何も見えねぇ!これじゃ進みようがねぇな..」
「あ、それなら大丈夫ですよ」
「光よ照らせ、【点灯】」
クイナがそう唱えると手のひらに小さな光の玉が浮かび上がる。弱い光ではあるが洞窟を照らすには十分であった。
「おぉ!クイナ!これは魔法ってやつか?!」
ラズルは名前は聞いた事はあるものの、初めて見る魔法に興奮しながらクイナへ迫る。
「えぇ?!魔法も知らないんですか?!」
「なぁなぁ!それって俺にも出来るのか?!」
「私も魔法はあまり得意ではないですが【点灯】は初歩的な魔法なので魔力さえあれば誰にでも使えると思いますよ?」
「そう言えばまだ俺の闘力ってやつ見てなかったな」
ラズルが闘力を見たいと念じると目の前に何かが浮かび上がった。
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『ラズル』種族…『人間』
闘力…4360
武力…3620 魔力…740
スキル…『気配察知』『身体強化』『瞬速』
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(うわ、バランス悪!!)
「クイナ、闘力って大体どの位が平均なんだ?」
「そうですね、一般人が100程、一般的な騎士で1500程でしょうか?」
「因みにクイナは?」
「私は闘力2160の武力1870、魔力290です」
「...脳筋?」
「ちっ違います!獣人はどうしても武力が高くなってしまうんです!」
「でも思ってたよりも高いな。逃げてたって事はバトルウルフの方が強いのか?」
「スキルを使えば2体位までは何とかなるんですけど、それ以上となると厳しいんです」
「ラズルさん30体のバトルウルフに勝ったんですよね!闘力いくつだったんですか?」
「4360」
「え?」
「だから4360」
「いやいや、バトルウルフを30体も同時に相手出来るんですからそんなはず無いですよ」
「いや、本当に闘力4360の武力3620、魔力740
だ」
「ラズルさんも十分脳筋じゃないですか?!」
「うるせぇ!俺は魔法なんて使った事無いんだから仕方ないだろ!」
「その闘力で勝ったと言うことは相当強い武器かスキルでも使ったんですか?」
「うーん...なんて言ったら良いかなぁ」
「まぁ、凄く強いスキルみたいなものだと思ってくれ」
「凄く気になりますが...スキルの事はあまり人に話さない方が良いので仕方ないですね」
「それはそうと俺にも魔力があるって事は魔法使えるんだよな?!」
「それだけ魔力があれば十分ですよ」
「どうやるのか教えてくれ!」
「えっと、魔法は基本的に詠唱というものをして発動させるんです。さっきの【点灯】でしたら[光よ照らせ、【点灯】]と唱えれば発動します。」
「光よ照らせ、【点灯】」
ラズルの手のひらからもクイナよりも大きな光の玉が浮かび上がった。
「出来た!これが魔法か!」
「やっぱり私よりも魔力が多いので大きいですね。ラズルさんそのまま明かり頼めますか?」
「任せろ!」
ラズルは生まれて初めて魔法というものを使った為とても興奮していた。
「他に何か攻撃出来る簡単な魔法ってあるか?!」
「簡単な攻撃魔法と言ったらやはり、【火球】ですかね。詠唱は[炎よ焼き尽くせ、【火球】]です」
「なあ、その詠唱ってのは絶対やらないといけないのか?」
「絶対という訳ではありませんが...無詠唱での魔法の行使は結構難しいですよ?」
「さっき【点灯】を使った時に体の中の何かが動いた気がしたんだ。多分あれが魔力なのだとしたら詠唱せずに動かせそうな気がするんだよなぁ」
「凄い感覚ですね...」
「まぁ取り敢えずは詠唱しとくかな」
暫く歩く事10分。
「ん?少し先の方に何か居るな」
「あれは...ブラッドバットでしょうか?獲物に噛み付いて血を吸い上げる危険度Cの魔物です」
「早速試してみるか!」