学園[17]
「ラズルさんと出会ってからもう結構経ちますけど戦ってみた事はありませんでしたからね」
「そうだな、お互い戦い方を見た事はあっても戦った事は無いからな。正直やってみないと分からんな」
「ラズルさんに勝てるとは思ってはいませんが....せめて良い勝負にはします!」
「おう、本気で掛かってきな」
「そうですね、では最初から本気でいかせて貰います」
「『身体強化』、『気配察知』、『五感強化』」
「はぁ!」
クイナが今使える強化系のスキルを全て使い、全力を持ってラズルへぶつける。
ラズルは思っていた以上のスピードに反応出来ずに殴り飛ばされてしまう。
「いっつつ...流石クイナだな。反応出来なかったぜ」
「ラズルさんもスキルを使ったらどうですか?」
「そうだな、そうさせて貰おう」
「『身体強化』」
「よーし、こっからが本番だ」
今回ラズルはクイナに合わせて剣を持たずに素手で戦っている。ラズルの拳とクイナの拳がぶつかり合い、訓練場内に衝撃波が響き渡る。
「『瞬速』」
「うっ...!」
「てやぁぁぁ!!」
「よっと!」
周りの生徒達も授業とは思えない戦いに目を向けるものの、2人の動きを目で追えるものは極少数であった。
「ほう...あれが例の奴か!」
さっきまで全く元気の無かったガウも2人の戦いを見る事で眠気が覚めた様だ。
ドドドドドドドドドドガァ!
しばらく殴り合っていた2人だが、クイナからは段々と疲れが見え始めた。
「はぁ..はぁ...流石はラズルさんですね....私の負けです」
「正直近接戦だといつ足元すくわれてもおかしくねぇよ」
「ですが、やっぱり勝てませんでした....」
「お前は確かに強い。身体能力に差はそこまで無いからな」
「しかし、お前にはまだ圧倒的に対人戦の経験が足りない」
「森で魔物や動物を狩っていてもやはり人となると全然違うもんだ。お前は人と戦うなんてのは最近が初めてなんじゃないか?」
「はい、ラズルさんと出会ってからが初めてです」
「そこの差だ」
「という事はラズルさんは沢山の人と戦って来たんですか?」
その質問により、急にラズルの顔が曇る。
「........そうだな。お前と出会う前はかなりの数戦って来たな」
「....!」
出会ってから初めて見るラズルの顔にクイナは戸惑いを隠せなかった。
「じゃあ俺は報告に行って来る」
「あっ....」
ラズルはそのままガウの元へ報告をしに向かった。
「危なかったぁ!そのレイピアずるいよ!」
「武器に制限なんて無いんですからずるじゃありませんよ」
「それに結果身体能力で押し潰して来たではないですか!」
「だってそのレイピアの効果分かんなかったんから、早めに決着つけないと負けそうだったんだもん!」
クイナの元に戦い終えたフランとアリアがやって来た。どうやら会話からしてフランが勝利した様だ。
「クイナー!そっちはどうだった?」
「...あ!私は負けてしまいました」
「そっかー、やっぱラズルは強いなぁ....」
「........」
「クイナさん?どうかされましたか?」
「何だか元気無いよ?」
「...いつも明るいラズルさんが私が質問したら悲しそうな顔をしたんです....」
「え?!あのラズルが?!」
「因みにどんな質問をしたのですか?」
「ラズルさんは沢山の人と戦って来たんですかって聞いたんですけど....」
「ん?別にそんな変な質問じゃなさそうだけどね」
「ええ、特に気になる所はありませんでしたが....」
「........」
「大丈夫だよ!あのラズルだよ?」
「あまり気にし過ぎるのも良く無いと思います」
「そう..ですよね」
クイナは何だか自分の知らないラズルを見てしまった様な感じがして落ち着きを無くしていた。
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「よーし、時間的に次が最後とする!」
「何だか急に元気になってるな」
「でもどうする?僕達もうそれぞれ全員と戦っちゃったし....」
「もう1回同じ人とやっても良いかもしれませんが、ここはやはり別の方を探した方が良いかと」
「そうだな。じゃあ各自相手を探すという事で」
ラズルはそう言い対戦相手を探しに行った。
「いつも通りじゃない?」
「ええ。どこか変わった様子は無い様に見えました」
「........」
「クイナも落ち込んでないで相手を探そうよ!」
「はい....」
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「嫌な事思い出しちまったなぁ....」
「おい!!貴様!!」
「あぁん?」
ラズルが対戦相手を探していると、後ろから明らかに敵意の籠った声で呼ばれる。
「貴様!何プラーミア様と仲良さそうに話しているんだ!」
「は?」
「貴様の様な平民ごときがプラーミア様と話せる訳無いだろう!」
「何で?」
「プラーミア様は大貴族様なんだぞ!」
「本人が良いって言ってただろう...」
「うるさい!今後プラーミア様に近付かないと誓えば許してやろう!」
「はぁ....こっちは今そんなに気分良く無いんだよ。お前なんかに構ってる暇は無い」
「なっ?!貴様この僕は....」
「"うるせぇよ"」
「っっっ!」
ラズルが一瞬だけ殺気を込めた視線を送ると、貴族の男子生徒は一瞬怯んだが、余りにも一瞬の出来事だった為ラズルの仕業だとは気付かなかった。
「そうだ!貴様私と戦え!」
「はぁ?お前とか?」
「そして私が勝ったら2度とプラーミア様に近付くな!」
「あー、分かった」
「良し!早く始めるぞ!」
「ああ」




