学園[15]
「ガウ先生どうしたんだ?」
「何かあったのかしら....」
「あの先生の事だから普通に遅刻なんじゃないか?」
クラスからガウについて様々な声が上がる。
10分...20分と時間が過ぎていくがガウは来ない。段々と他の生徒達も不安になって来たその時。
ガララララ
「ふぁぁ~~おはよう」
ガウが眠たそうに目を擦りながら教室へ入って来た。
「あれ?挨拶が無いな。昨日言ったろ挨拶は大きな声で。おはよう」
そう言いながらま昨日と真逆でガウは全く元気の無い挨拶をする。生徒達も若干顔が引きつっている。
「「「お、おはようございます....」」」
「おう。では授業を....」
「ちょっと待って下さい!」
1人の男子生徒が急に立ち上がる。
「んぁ?」
「教師として授業に遅れてその態度はどうなんですか?!」
「いやー、昨日はちょっと寝るのが遅くなってな。1度起きたんだがいつの間にかまた寝てた」
「なっ?!」
「大丈夫だって。3年間もあんだからこの位は遅れの内に入らない」
「ただ、遅れた事はすまん」
「よーし、じゃあ気を取り直して授業を始めるぞー」
ガウは何事も無かったかの様に授業へと戻っていく。
「っ....!」
それを見た男子生徒はまだ納得がいっていない様ではあったが、静かに自分の席へと座り授業を受ける事にした様だ。
始めの授業は座学であった。ガウの授業は意外にも丁寧で分かりやすく、生徒一同も驚いていた。
40分程経った所で座学は終わった。
「1時間目の座学はこれで終わりだ。次からは実技をやってくから各自時間までには訓練場に居るように」
ガウはそれだけ言い残して欠伸をしながら教室を出ていった。
「やっぱり凄い先生ですね....」
「俺はああいうの結構好きだがな」
「僕も最初はちょっと驚いたけど、先生の授業凄く分かりやすかったね」
「この学園の教師としては少し適当なのでしょうが....私も嫌いではありませんね」
ラズル達のガウの評価は高かったが、他のクラスメイト達は不満を持つ者が多い様であった。
「まあ、毎回時間に遅れて来られたらそりゃ困るよな」
「そんなに昨日忙しかったんですかね?」
「新入生が入ったばかりだから仕事もいっぱいあるのかもね」
「次の実技ではもう少しやる気を出して頂けたら良いのですが....」
「訓練場って何処だ?」
「実技試験で僕達が戦ったあの闘技場みたいな所だよ」
「そう言えばさ!実技で何をやるかは分からないけどもし機会があったらまた戦おうよ!」
「ああ。勿論良いぞ」
「ラズル君、私も良いでしょうか?」
「アリアもか?まぁ良いぞ」
「ありがとうございます!」
「僕が先だからね!」
「...仕方ありませんね」
「クイナ、お前はどうする?」
「確かにラズルさんと戦った事無いですものね」
「うーん、私も自分がどれだけ強くなったか確かめたいですしお願いします!」
「良し、全員相手してやろう!」
「今度は時間に余裕を持って行こうか!」
「もう完全に眠気は取れたからな。実技か....楽しみだ!」
ラズル達4人は訓練場へと移動する。
その光景を見ていた1人の男子生徒が怒りの表情を浮かべていた。
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「ここに来るのも何か懐かしい気がするな」
「あはは、まだ一昨日の事なのにね」
クラスメイトはもう既に全員訓練場におり、残りはガウだけであった。
「お、何だもう皆揃ってんのか。感心感心」
まだ眠たそうなガウが今度は時間までに来た。
「じゃあまだ少し早いが授業を始める」
「今から簡単な模擬戦をやって貰う。誰か好きな奴とペアを組んで戦って勝敗を俺に教えてくれ」
「だが、当然危険な技は使わない様に」
「どんな感じかまず最初のペアだけ皆で見学するか」
「誰か最初にやりたい奴居るか?」
「はい!僕が....」
「俺にやらせて下さい!」
フランの声を掻き消したのは先程ガウの態度に対して物申していた男子生徒であった。
「あーさっきの奴か。良いぞ、誰とやりたい?」
「誰でも良いんですよね?」
「?ああ」
「では先生、お願いします」
『?!』
クラスメイト全員から驚愕の声が上がる。
「何で俺なんだ?」
「俺はあなたの様な人がこの学園の教師だということに納得いっていません」
「ですが、ここは主に戦闘について学ぶ学園。ならば教師の実力を知りたいと思うのは当然ではないでしょうか?」
「成る程な。確かに誰でも良いと言ったしな。良いぞ相手をしてやろう」
「お前は武器を使おうと魔法を使おうとスキルを使おうと何をしても良いぞ」
「....先生は?」
「俺はこのままで良い」
「なっ?!俺を舐めているんですか?!」
「いいや、舐めていない。これで十分だと判断しただけだ」
「....後悔しますよ」
「おう、させてみろ」
「では....行きますよ!」
男子生徒は中々の速度でガウへ近付き、持っていた斧を振り下ろす。
ドォォォン!
完全に斧はガウを捉えて凄まじい音を立てながら地面にひびを入れる。
しかし、立っていたのは無傷のガウであり男子生徒は倒れていた。
『なっ?!』
クラスメイトがその一瞬の出来事に驚愕する中、ラズル、クイナ、フラン、アリアの4人は冷静にガウの動きを観察していた。
「皆さん...今の見えました?」
「俺は見えた」
「僕は全く見えなかった....」
「私も見えませんでした」
「因みに私も見えませんでした。ラズルさん、ガウ先生は何をしたんですか?」
「攻撃を避けてからあの斧持った奴の頭を地面に叩き付けただけだ」
「..なっ?!あの一瞬で?!」
「ああ。正直ルークとまではいかないもしれないがかなりの速度だ。俺でもちょっとキツいな」
「お父さんと良い勝負って事?!」
「いやいや、それを聞く限りフランさんのお父さんもかなりヤバいじゃないですか!」
「是非とも戦ってみたいな...」
「僕もお願いしてみようかな...」
「2人共何考えてるんですか?!」
「残念ながら私もあのスピードには対応出来そうにありませんね....」
「いや、それが普通です」
ガウは男子生徒を起こす。
「どうだ?これで満足か?」
「何も...出来なかった....」
「まぁなんだ、これから頑張れ」
「ガウ先生、今はまでの非礼申し訳ありませんでした!」
「っ!辞めろ固っ苦しい!」
「流石はエスクエラの教師です!まさかここまでとは!」
男子生徒は先程とは打って変わりガウを尊敬の眼差しで見ている。その視線にガウは少しずつ照れ臭そうにしている。
「と、とまあこんな感じだ!後は好きな者同士やってくれ!」
「あ、俺はもうやらんからな!」
「ちぇ、なーんだ残念」
「今度頼んでみるか....」
「ちょっと2人共!早くやりますよ!」
「ん、ああそうだな」




