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学園[11]

中へ入ると少し白髪の混じってはいるものの、身体の衰えを感じさせない威圧感のある40代程の男が椅子に腰掛けていた。


「ん?誰だ?....!フランか?!」


「うん。ただいまお父さん」


「久し振りではないか。して、後ろの彼は?」


「どうも。フランさんの友人であるラズルです」


ラズルはフランの父という事で最低限の礼儀を払って自己紹介をする。


「ほう!もう友人が出来たのか!上手くやっている様で何よりだ!」


フランの父は()()の学園生活が上手くいっている事を知り喜んでいる。


「それで...まさかその報告をする為だけに帰って来た訳では無いのだろう?」


.....が、次の瞬間には真面目な雰囲気へと変わる。


「うん....1つお願いがあって来たんだ」


「ほう...何だ?言ってみろ」


「僕は....女の子として生きたいんだ!」


「........ならん」


「お前も分かっている筈だ。この家を継ぐ者が女であっては他の貴族達に舐められてしまう。そうなると後々面倒な事となる」


「勿論...分かっているよ....でも!」


「それでも僕は女の子として生きたいんだ!!」


「?!...はぁ....ならお前は他の貴族共が何かしら仕掛けて来たときに完璧に対処出来るのか?当主が女というだけで舐めて掛かってきて敵対する貴族など山程居るぞ」


「それは...」


「正直な話、現在我々シュバルツ家は力が衰えつつある。私が居る内はまだ大丈夫だがお前では力不足だ。直ぐに他の貴族に潰されてしまうだろう」


「しかしお前が男として生きる事で少なくとも抑制力にはなる。私の息子というだけで貴族共は手を出しにくくなる。そうする事で何とか次の代まで持ちこたえられる」


「................」


フランはやはり自分が女として生きるなど無理なのだと諦め掛け、俯いたまま黙ってしまった。


「ちょっと良いか?」


「ん?何だね?」


「正直俺は貴族がどうこうって言われても全く分からないんだが、今の話を聞いて思ったんだが....」


「要するに他の貴族に舐められなけりゃ良いんだよな?」


「ああ。しかし、今は私が当主という事で何とか保っている所だ。フランを女として当主にすると間違いなく何かしらの方法で仕掛けてくる。そうなると防ぎようが無い」


「何であんたが当主ってだけで他の貴族は手を出せないんだ?男だからってだけでは無いだろ?」


「我々シュバルツ家は元々戦の戦績が認められここまでの地位を築き上げて来たのだ。早い話戦力がある」


「しかし、先程も言った通り我々の力は衰えつつある。ここで私に何かあった場合フランではどうしようもない」


「それって他の貴族はあんたの力を恐れて手を出して来ないって事だよな?」


「まあ、そうなるな」


「だったらあんたと同等かそれ以上の戦力があるとなればフランが女として生きても舐められ無いから問題も無いよな?」


「私以上の戦力....か。確かにそんな戦力があれば例え貴族共が仕掛けて来ても大丈夫だろうな」


「それで?そんな戦力は一体何処にあるんだ?」


「俺だ!」


「「え(は)?」」


「俺がシュバルツ家の戦力となろう」


「小僧、貴様がこの私と同等以上の力を持つとでも?この私をルーク・シュバルツと知って言っているのか?」


その瞬間、ルークから凄まじい殺気が溢れだし、その殺気を受けたフランはその場にへたり込んでしまう。


「正直あんたの力がどの程度かは良く分からんが、俺も腕には自信があるんでね。負ける気は無いぜ?」


しかし、ラズルも負けじと殺気を出しながらルークを見つめる。


「....ふ」


「ふははははは!!」


「この小僧!この私に負ける気は無いなどとぬかしおった!」


「良かろう!ならば貴様の実力をこの私が直々に試してくれるわ!」


「おう、望む所だ!」


「ただし、それだけの口を叩いたのだから私も貴様を殺す気でいく」


「ちょ、ちょっと待って!」


「ん?どうした?」


「いくらラズルが強いと言ってもお父さんには勝てないよ!」


「そんな強いのか?闘力は?」


「お父さんの闘力は....」












「17520だよ....」


「え?まじで?」


「まぁ、多少の衰えはあるかもしれんがな」


「どうした?今ならまだ辞めても良いぞ?」


「ほざけ、辞める訳ねぇだろ。フランとも約束したんでな」


「ほぅ....」


「ラズル!流石に駄目だ!お父さんは本気で殺しに来る!」


「久し振りに腕が鳴るな。その闘力でどの程度の力を持つのかも興味がある」


「良い度胸だ!では場所を移すとしよう。付いて来なさい」


「ああ」


ラズルはルークの後を付いて行く。それを見たフランは必死に2人を止めようとするが、2人共辞める気は全く無かった。


ルークに連れられて来た場所は地下闘技場。とても家の地下とは思えない程の広さで、闘技場内には障害物1つとて無い平地だった。


「良し、ここでなら十分力を試せるだろう」


「へー、家の地下にこんな物があるとはなぁ」


「我がシュバルツ家は代々戦闘が大好きでな!我々の先祖が地下に闘技場を造ったのだ」


「お父さん辞めて!」


「フラン、お前は観客席で見てなさい」


「ちょ?!うわぁ!」


そう言うとルークはフランを観客席の方へと投げ、そのまま闘技場を覆う様に結界が張られた。


「お父さん!結界を解いて!」


「良し、これでもうここは私達だけの場だ。思う存分殺り合うとしようか」


「実の娘に何て扱いだ....」


「実の()()だよ」


「はっ!そうかい。直ぐに『こ』の字を『め』の字にしてやんよ!」


「ふふっ、期待しているよ」


2人はそれぞれの武器を取り出す。ルークは飾りなど1つも付いていない性能だけを重視した刀を。ラズルは予め買っておいた剣を取り出す。


2人はしばらく距離をおいて見つめ合う。


「『身体強化』、『瞬速』」


先に動いたのはラズルであり、『身体強化』と『瞬速』を使った全力の1撃をルークへとぶつける。

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