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学園[9]

「..フラン?もしかしてフラン・シュバルツさんですか?!」


「フラン・シュバルツ?どういう事だ?」


「フランさんもこの王国の大貴族の1つであるシュバルツ家の長女ですよ」


「....は?え、フランが貴族?」


「黙っててごめん!...僕が貴族だと知ったらラズル達の僕に対する態度が変わっちゃうんじゃないかって思うと不安になっちゃって....」


~~~~~~~~~~以下略~~~~~~~~~~


「....って会話だよな」


「声真似上手っ!!似てるとかのレベルじゃなくもはや本人でしたよ?!正直こっちの方が驚いたかもしれません....」


「そこは声帯をちょちょいとな」


「いや、まず1文字も間違えずに会話を覚えてる事も凄いよ?!」


「そこは気合いでちょちょいとな」


「色々と凄い方ですね....」


「んで、この会話の何に驚いたんだ?」


「いやいや!さっきラズルさん本人の口から()()って単語が出てましたよね?!」


「あー、何だその事か」


「「え?」」


クイナとフランから気の抜けた声が上がる。


「何でそんなに冷静なんですか?フランさん女の子だったんですよ?!」


「いや俺も分かった時は勿論驚いたけどな」


「え!ラズル知ってたの?!」


「ああ。実技試験の時に握手したろ?その時に違和感を感じてな?」


「いや、でもこれは僕のスキルで完全に男の子の体型になってたはずなんだけど....」


「勿論ただ見ただけだと男にしか見えないが、目に魔力を込めてみたらなんか見えた」


「そんな適当に僕のスキルを看破しないでよ....」


「いや、そっちにも何かしら事情があると思って黙ってたんだがな」


「........まぁ、そんな大した理由は無いんだけどね」


「僕の家は男の子っていうか僕以外産まれなくてね。自然と家を継ぐのは長女である僕しか居なかったんだけど....」


「僕の家はこの王国でも結構権力の強い方だから当主が女となると他の貴族に舐められちゃうんだ」


「そんな当主について悩んでいる中、僕に『変装』というスキルがある事が分かってさ」


「『変装』を使って僕は男となり、世間にはシュバルツ家の長男として知られ、そのまま男として育てられて来たんだ」


「まぁ、理由としてはこんな所かな!」


フランは笑顔で説明を終える。


尚、この会話は他の者に聞かれると不味いかもしれない為、ラズルは既に周りへ音が漏れない様に結界を張っている。


「....」


しかし、その笑顔は誰がどう見ても無理矢理作っている偽りの笑顔であった。


「アリアさんはどうしてフランさんが女の子だって知ってたんですか?」


「私は以前小さい時に1度フランさんの誕生パーティーでお会いした事があるんです」


「........」


「........」


「ほらっ!何だか暗くなってるよ~。折角の入学式なんだからもっと明るくいこうよ!」


「そ、そうですね!」


「え、ええ。他の皆さんも指定された席に付いた様なので私達もそろそろ席に付きましょうか!」


4人はそのまま自席へと付き、静かに待っていた。


ガララララドォォォン!!


突如もの凄い勢いで教室の扉が開かれ、大きなゴツいおっさんが教室へと入ってきた。


「おっと!!少し強く開けすぎてしまったな!!」


「おはよう諸君!!私が君達Aクラスの担任となったガウだ!!1年間宜しく頼む!!」


『........』


「何だぁ?皆元気無いなぁ!!挨拶は大きな声で!!そらっ、おはよう!!」


「「「お、おはようございます」」」


「良ーし、まず最初に色々な事についての説明を....するのは面倒だから各自今から配る紙を見てくれ!」


そう言うとこの学園について詳しく書かれた紙が全員に1枚配られた。


「次!全員に制服を配るぞ!無くすなよ!」


次々と物事が進んでいきクラスの皆は状況の理解があまり出来ていない様子であった。


「はい!今日やる事は終わり!さっき配った紙にこれからお前らが暮らす学生寮の部屋が書かれているから各自そこへ行って自由行動だ。他にも分からない事があったらその紙見れば大抵の事は分かるからな。以上!また明日元気に登校する様にな!!」


そう言い残すとガウは教室を出て行ってしまった。


『............』


あまりに短く適当な説明で生徒一同は未だに状況が掴めずポカンとしている。


その内言われた通りに自由行動をする者が現れた事でポツポツと教室から出ていく者が出て来た。


「何だか...凄い先生でしたね....」


「ある意味良いかもね」


「取り敢えず私達も一旦解散して学生寮の自室に行ってみましょうか?」


「うん。そうだね」


4人は一旦解散し、それぞれの部屋へと向かって行った。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ラズルは先程配られた紙に書かれていた自室の前へと来ていた。


「ここか」


部屋の中へ入るとまだ誰も中には居らず、ラズルは同居人をしばらく待つ事にした。


「ここかな?」


扉が開く音がすると同時に聞き覚えのある声が聞こえて来た為、そちらを見ると部屋へ入って来たフランと目が合った。


「え?もしかしてラズルの部屋ここ?」


「ああ。お前の部屋もここか?」


「うん!凄い偶然だね!」


「良いのか?」


「....何が?」


「お前はいくら男として育ててられたと言っても女だ。それなのに男子寮の部屋で良いのか?」


「.......勿論!僕は男だから何の問題も無いよ!」


明るくそう答えるフランの顔は言葉とは裏腹に曇っていた。


「そうか。じゃあ質問を変える」


「お前はそのままで良いのか?」


「....どういう事かな」


「そのまんまの意味だ。このまま男として生きていくという事で良いのかと聞いている」


「....僕はもう男として生きると決め..」


「ちゃんと俺の質問に答えろ」


「?!」


「俺が聞いているのはこのままで良いのかという事だ」


「................」


「はぁ...じゃあこれで最後だ」


「お前は男として生きたいのか?それとも女として生きたいのか?」


「....そりゃあ僕も普通の女の子みたいに生きたいよ」


「でも!こればかりは仕方無いんだ!」


「何が仕方無い?」


「それは...!僕が男として生きないと家族の皆が困るから....」


「成る程な。家族の為に自分を捨てるのか」












「アホか」


「?!」


「お前は筆記試験の最後の質問で何と答えた?」


「......空欄」


「だよな。それなのに家族の為に自分を捨てるってのはおかしいだろ」


「じゃあどうしろってんだよ!!!」


「もう僕にはどうしようも無いんだよ!!!」


「何か良い方法があるのなら僕に教えてくれよ!!!」


「はぁ...はぁ...はぁ....」


そこまで言い切るとフランは涙を流しながら息を切らす。


「自分1人でどうしようも無いのなら誰かを頼れ!自分1人で抱え込んで勝手に解決しようとするんじゃねぇ!!!」


「?!....うぅ...うっ....」


「僕は...女の子として生きたい....」


「でも....僕にはどうしようもない....」


「ラズル..僕を助けてくれ....!」


「その願い、確かに聞き入れた!」

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