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学園[3]

「次!506と863前へ!」


「は、はい!」


クイナが闘技場のステージへと降りると、そこには身なりの良さそうないかにも貴族という男が立っていた。


「お前が俺の対戦相手か?」


「はい、宜しくお願いします!」


「....ふっ、ふははは!こんなちっこいガキが俺の相手とはな!」


「なっ!」


「見た目は幼いが美しくはあるな。良し、お前を俺の女の1人にしてやろう。そうすればこの試験でも痛い目には会わさないでおいてやる」


「どうだ、痛い目にも会わない、このアロガン家の長男である俺の女にもなれる。これ程光栄な事は中々無いぞ!」


「うわぁ.....最悪ですね」


「ん?良く聞こえんな。もっとはっきりと「お願いします」と言え」


「そうですね、では...」


「お願いします」


貴族の男は当然だと言うように笑みを浮かべる。


「.....とでも言うと思ったら大間違いなので、さっさと試験を終わらせますよ」


..が、次のクイナの言葉でその笑みは崩れる。


「...?!貴様今何と言った!」


「あれ?おかしいですね。言われた通りはっきりと言ったつもりなのですが、聞こえなかったのならもう一度()()()()()言います」


「お断りです♪」


クイナは満面の笑みでそう答えるが貴族の男は顔を怒りで真っ赤に染める。尚、その光景を観客席から見ていたラズルは爆笑していた。


「2度とそんな口を効けぬ様にしてくれるわ!」


「はいはい、ラズルさんに油断しない様に言われましたが流石にこれは油断しちゃいそうですね....」


「では、両者準備は良いな?」


クイナは〈神秘の洞窟〉で拾った【魔法武器】(マジックウェポン)の短剣を、貴族の男は沢山の宝石が付いたいかにも高そうな剣を抜く。


「…始め!」


この実技試験は自分の武器を使って良い事となっており、特に反則というものは無い。


ただし、相手を殺してしまった場合は不合格となる。


例え相手の攻撃に当たったとしても、審判が試合続行が不可能だと判断した場合はその者の敗北となる。


この試験で負った傷は回復魔法を得意とする者が治してくれるそうなので、あまり心配は要らない様だ。


「おらぁぁぁ!!」


男は剣を構えながらクイナへ向かって真っ直ぐに走ってくる。


「これは...酷いですね」


そのままクイナへ向けて剣を振り下ろす。


クイナは男が振り下ろす剣を『身体強化』を使う事も無く楽々と躱していく。


次々と剣を振り続けるが、クイナへ当たる気配は一向に無い。


「はぁ...はぁ....俺の剣を躱すとはなかなかやるな」


「はぁ..ありがとうございます?」


「だが、あそこまでこけにされてしまったのでな。今からこの剣の力を開放し、貴様を倒すが悪いのは貴様だからな?」


「へぇー」


クイナは剣の力というものを警戒し、『身体強化』を使い短剣を構える。


「とくと見よ!これが我が家に代々伝わる家宝である【魔剣アーロゲント】のちk...」


「長い!」


男がドヤ顔で魔剣の説明をしていると、待ち切れなくなったクイナが男を殴る。


(((短剣使わないんかい!!!)))


観客席からその試合を見ていた者の考えが一致した。


殴られた男は泡を吹きながら失神している。


「しょ、勝負あり!」


少し引いた様な表情を浮かべながら審判がクイナの勝利を宣言する。


................


良く見ると先程までは盛り上がっていた観客席も静まり返っている。


「やったー!ラズルさん、勝ちましたよー!」


「お、おう...」


クイナは嬉しそうにラズルへ手を振るが、流石のラズルもあのタイミングで殴り掛かるというクイナの行動には少し引いていた。


ヒーローの変身中に全力で攻撃を仕掛けるかの様なタブー感が漂っていたが、クイナはそれに気付かずとても嬉しそうにしている。


(あれ?何か昨日の夜に学園ではもう何もやらかさないとか言っていた様な....)


「えへへ~」


(まぁ本人も嬉しそうだし良いか、気のせいだな。うん)


クイナも観客席に居るラズルの隣へ座り、他の受験者の試合を見ていく。


「おぉー、あの人の剣術見た事無い型ですね」


「こうやって人の戦い方を見るというのも中々勉強になるな」


「...ん?おぉ、あいつ圧倒的だなぁ」


「うわぁ、凄い威力の魔法ですね」


ラズルの目線の先には、周りと比べて明らかに威力の高い魔法を使う男だった。


「ああいう奴もいる訳だからやっぱ油断は出来ねぇな」


「私の相手は正直運が良かったですね」


「あれは酷過ぎだ。貴族の坊っちゃんでぬくぬくと育てられたんだろ」


「結局あの魔剣とか言ってた剣の力ってのは何だってんですかね?」


「さぁな、あいつが見せる前にお前がぶっ飛ばしちゃったし」


「仕方無いじゃないですか、試合の場であんなに長く隙を見せられたら誰でもやっちゃいますって」


「まぁ...否定はしないけどな?」


「え?何か不味かったですか?」


「いや、戦闘としては大正解だ」


「戦闘としては?」


「いずれ分かるさ」


「む~、教えて下さいよ~」


観客席でじゃれつきながら試合を見続けていき、とうとうラズルの番が回ってきた。


「次は俺だな」


「ラズルさんなら大丈夫だとは思いますが、頑張って下さい!」


「ああ。良く見とけ」

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