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王都[8]

何とか無事に宿屋の部屋へと帰ってきた2人。


「ふぅ...すれ違う人全員を警戒してしまいましたよ」


「これだけ金があれば取り敢えずは大丈夫なんじゃないか?」


「まだバトルウルフも30体分位はあるから、単純計算であと大金貨3枚分って事だしな」


「それでも足りなかったら〈神秘の洞窟〉のアイツを売るしかねぇな」


「あんなの売ったら目立つ所じゃ済まないですよ?!」


「ああ..アイツは最終手段だ....」


「そもそもアレは売れるんですかね...」


「おっさんも言ってたろ?また凄ぇの持って来てくれって」


「....確かにアレ以上に凄いのって中々居ませんね」


「バトルウルフであんな高かったんだからもしかしたらもっと高いかもな」


「2度とあの臭いは嗅ぎたく無いんですがね...」


「あ、アレお前を起こす時に使えるかもな」


「本当に辞めて下さい?!」


「はは、冗談だよ....うん」


「最後の「うん」は何ですか?!」


急にクイナから表情が抜ける。


「いや、本当に辞めて下さいよ?私の鼻ラズルさんが思っている以上に良いんですからね?泣きますよ?号泣しますよ?」


「分かった分かった!やんないから真顔でこっち来んな!」


「分かれば良いんですよ!」


クイナの顔に表情が戻り、満足した様に頷く。


(怖っ!こいつたまに情緒不安定になるな...)


案外ラズルも人の事を言えないのだが、本人は全く気付いていない。


「これだけあれば当分は何もしなくても生活していけますよ!」


「..!じゃあまた食い物買いに行っ...」


「駄目です」


「何でだよ?!そんなにあんだから良いだろ!」


「ラズルさんにお金を渡すと【収納箱】(アイテムボックス)にいくらでも入るからってとんでもない量を買ってきて、また直ぐにお金が無くなりそうなので駄目です!」


「あの商店街でどうやってそこまで使えと?!」


「とにかくです、お金は取り敢えず私が管理します。ラズルさんにもちゃんとお金は持たせるのでその範囲でなら幾らでも使って下さい」


「これが妻に逆らえない夫のお小遣い制度ってやつか....」


「お金はちゃんと管理出来る人が管理しなきゃ駄目なんです」


「それに、お金を使いたい時にちゃんと言ってくれれば私だって渡しますよ」


「分ーったよ、金の管理はお前に任せる」


「はい!任されました!」


「さて、金の話はこれで終わりとして、これからどうするかって事だよな」


「そうですね…お金も貯まった事です、今はそこまで依頼を頑張らなくても良いので他に何かやる事を見つけたいですね」


「そもそも、王都って他に何があるんだ?」


「私も初めて来たので詳しくは知りませんが...有名なものと言ったらやはり王城、学園、商店街位しか思いつきませんが、他にも色々な観光スポットがあるそうですよ」


「…今学園って言った?」


「?はい、王都には有名な学園があるんですよ」


「それだ!」


「ええっ!」


「学園って事は色々と学べるって事だよな?元々俺は色々と知れるみたいだからここに来たんだしさ」


「うーん、学園と言っても確かに色々と学べる事はありますが、主に学ぶのは近接戦や魔法などの戦闘に関わる事ですよ?」


「全然良い!そこ行こうぜ!」


「まぁ確かに入学の時期もそろそろですし、年齢的にも丁度学園に入れる年です。お金も貯まったので入学金なんかも心配要らないですしね」


「良いですね!私も学園生活ってのを体験したかったんですよ!」


「良し、次の目標は無事学園生活を送る事だ!」


「入学する為には入学試験というのを受けて、その試験に合格しないといけないそうです」


「へぇーどんなのかは知らんが楽しみだ!」


「その入学試験ってのはいつやるんだ?」


「ええっと、確か8日後だったはずです」


「8日か...少し長いがその間に依頼を達成しまくっていくつか冒険者ランクも上げとくか」


「そうですね、リタさんにもあんな大口を叩いちゃいましたから、少しでも冒険者ランクを上げないとですね!」


「次の目標も決まった事だしそろそろ飯でも食いに行くか!」


「ここのご飯はどうでしょうね!」


初めに言われた通りに食堂へ来て食事を頼む。ラズル、クイナの2人分と、おまけでネラの分まで出してくれた。


雑談を交わしながら食事を食べていく。


「ここの飯も美味かったな!」


「ええ、前回の宿にも負けず劣らずでした!」


「キュウ!」


「もうこんな時間か。薬草採取とゴブリン討伐に時間取られたからなぁ」


「時間的には少し早いですかもう寝ますか?」


「そうだな、最悪風呂に入らなくてもお前に教えて貰った【清浄】(クリーン)で身体を綺麗に出来るの本当に便利だな」


「女の子には必須の魔法です!」


自分達の部屋へ戻り、それぞれ【清浄】(クリーン)を使いベッドへ入る。


「ラズルさんお休みなさい~」


「ああ、お休み」


「キュウ~」


................


「そろそろ寝たか?」


「スゥースゥー....フガッ!」


クイナは気持ち良さそうに寝ていたが、途中女の子が鳴らしてはいけない音が鳴っていた。


「....見なかった事にしよう」


「...キューウ?」


「おっと悪い、起こしちまったか」


「俺はちょっくら外に行って試したいことを試してくるからそのまま寝ててくれ。直ぐに戻る」


「キュウ」


ネラは言われた通りに直ぐに眠りに落ちていった。


「良い子だ」


ラズルはネラの頭を撫でて、少しの音も立てずに窓から外へと出る。


ラズルはそのまま神力を使い【飛翔】(フライ)を使う。


夜の空を飛び、一瞬で王都を離れ、ラズルは生物の気配が全くしない、周りには岩などしか見当たらない世界の果てまで来ていた。


「ここなら大丈夫だろ」


ラズルは今の己の力を試す為に誰も居ない所を探したのだ。


「良し、んじゃ早速やりますか」


「手始めに…【火球】(ファイアボール)


ラズルの全魔力を注いだ【火球】(ファイアボール)は、直径10メートル程の巨大な火の玉が出現する。


「うおっ!中々でかいな」


そのまま【火球】(ファイアボール)を放つと、離れた所にあった岩に当たった。


ズガァァァァァン!!!!


激しい音と熱波と共に岩は粉々に砕ける。


「おー、良い威力..だ...」


ラズルはそのまま倒れる。


「んで、これが魔力切れか」


冷静に分析を進めるラズル。するとラズルの純白な髪が漆黒に染まる。


「っと...!危ねぇ、久しぶりだから力漏れる所だった」


溢れ出しそうだった神力を漏れる前に抑え込む。


「1回魔力じゃなくて神力を使って魔法を使ってみたかったんだよな」


ラズルは本当に極僅かな神力で先程同様、【火球】(ファイアボール)を発動させる。

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