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王都[7]

冒険者ギルドへと到着したラズル達は、早速依頼達成を報告する為にカウンターへ行き、リタを指名する。裏でリタを呼びに行った受付のお姉さんの羨ましがる声が聞こえてくる。


しばらく待っていると、慌てた様子でリタが走って来る。


「お、お待たせしましっ!きゃあ!」


リタは急ぐあまり転び掛けたが、『瞬速』を使ったラズルによって支えられ、何とか転ばずに済んだ。


「おいおい、危ねぇな。そんな急がなくても良いぜ?」


「は、はい....ありがとうございます」


リタはラズルに支えられた事により顔を真っ赤にさせているが、顔を俯けていた為ラズルには気付かれなかった。


「むぅ....」


しかし、身長が低いクイナには丸見えで、それを見たクイナは不満そうに頬を膨らませる。


「これからは気を付けな」


「はい....」


「おお、そうだそうだ、依頼達成の報告に来たんだが、薬草とゴブリンの耳はどこに出せば良い?」


「あ、はい!それでしたら今こちらに出して頂いて結構です」


「了解」


ラズルは薬草20本とゴブリンの右耳10個をあらかじめ買っておいた極普通のバッグから取り出す。


ラズルは必要無いと言ったのだが、クイナが人前で【収納箱】(アイテムボックス)を使うのは不味いと言うので買って、そこに取ってきた物を入れておいたのだ。


「ええと...はい!確かに薬草20本とゴブリンの右耳10個です」


「これにて、薬草採取とゴブリン討伐の依頼達成とします!」


「良し!」


「やりましたね!」


「お2人共、初めての依頼達成おめでとうございます!こちらが今回の依頼の報酬となっております」


リタはラズル達に銀貨を8枚渡す。薬草採取が銀貨3枚でゴブリン討伐が銀貨5枚だ。


「へぇ~思ってたより貰えるんだな」


「確かに、こんなに貰えるものなんですね」


「今回の依頼はランクが低い依頼の中ではそこそこの難易度でしたので、報酬も他のに比べて高くなっているんですよ」


「お2人共今回の依頼はどうでしたか?」


「ま、まあ?俺達にかかればこの程度の依頼は余裕ですけど?何のアクシデントも無くスムーズに進んだしな」


「そ、その通りです!もっと難しい依頼をやってみたいものです」


「お2人なら闘力も凄く高かったので、冒険者ランクも直ぐに上がって、もっと難しい依頼をどんどんこなしていきそうですね!」


「あ、あたぼうよ」


「と、当然ですね」


「そんな凄い人達に指名して貰えるなんて夢みたいです!」


「おう、直ぐに冒険者ランクも上げていくつもりだからこれからも宜しく頼むぜ!」


「はい!こちらこそ宜しくお願いします!」


「あ、そうそう、ゴブリンの余った耳とか魔物の素材ってここで売れたりするのか?」


「はい、あちらのカウンターに素材を出して頂ければ買い取り致します」


「そっか、ありがとな!」


「はい!これからも頑張って下さいね!」


ラズル達は少しでもお金を得る為に、教えて貰ったカウンターへ素材を売りに行く。カウンターには40代程のおじさんが座っていた。


「すまない、素材を売りたいんだが」


「ん?おう、そこの机に出してくれ」


ラズルは普通のバッグから取り出す様に見せながら、【収納箱】(アイテムボックス)からゴブリンの右耳2個と、以前から入れておいたバトルウルフの爪や牙、毛皮などの素材を10体分だけ取り出し、机の上へ置く。


尚、バトルウルフの肉は非常食として保管している。


「おお、これまた中々多いな」


「今からこの素材らを鑑定するからちょっくら待っててくれ」


待つ事3分程でカウンターの奥からおじさんの叫び声が聞こえてきた。


「何じゃこりゃあぁ?!」


「何かおっさん騒いでるが大丈夫か?」


「それはそうですよ...急にバトルウルフの素材をあんなに出されたら普通の人は驚きますって」


そんな物を出してしまえば、ラズル達は多少なりとも目立つ事になってしまう。クイナは勿論その事を理解していたが、これから色々とお金を使う事になると思い、かなり使ったとしても余裕が生まれる位にはお金を持っておきたかったのだ。


とはいえ、依頼の報酬では到底足りず、ラズル達の残金も少なくなっていた。何かを売ろうと思った結果、売れるものがバトルウルフの素材位しか無かった為、しぶしぶ売るという結論を出したのだ。


「に、兄ちゃん!これはもしかしてバトルウルフの素材じゃねぇか?!」


「ああ、確かにそうだ。それは売れるのか?」


「当たり前だ!バトルウルフなんて言ったらかなりの額になるが、それが10体分だぞ?!それに、こんなに品質の良い物は初めて見たぜ....」


「それで、そいつらは一体幾らになるんだ?」


「ゴブリンの右耳が2個で大銅貨2枚、バトルウルフの爪、牙、毛皮が10体分で....」












「幾らになると思う?」


「クイナ、これ自分がやられるとすっげぇ腹立つな」


「でしょう?」


「まぁ中々強いと聴いたから...金貨1枚位にはなんじゃねぇか?」


「買い取り金額合計で()金貨1枚と大銅貨2枚だ」


「お!予想ピッタリじゃねぇか!」


「..........」


「兄ちゃん、金貨1枚じゃなくて()金貨1枚だ」


「ん?大金貨?」


「あれ、それ凄い価値のあるやつじゃなかったっけ」


..........


「えぇ?!あいつらそんな高ぇの?!」


「いや、そりゃバトルウルフだからこの位はいくぞ」


「クイナさーん?...って気を失ってらっしゃる?!」


「大金貨…大金貨…」


「気をしっかり持て!」


ラズルがチョップを食らわせるとクイナは正気へ戻った。


「...っは!ラズルさん、今私凄い大金持ちになる夢見ちゃいましたよ」


「やったね、現実だよ!」


「ふぇ?....ええぇぇぇぇぇ?!」


しばらくクイナが落ち着くのを待ち、ようやく落ち着いた所で話を進める。


「まさかバトルウルフがそんな高いなんて....」


クイナは内心金貨が数枚貰えれば良い方だと思っていた為、勿論喜びはあるがそれ以上に驚きが大きかった。


「取り敢えずこれ大金貨1枚と大銅貨2枚だ。絶対無くすなよ?」


手を震えさせながら受け取るクイナ。ラズルと話し合った結果お金の大半はクイナが管理する事となったのだ。


「こ、こ、こ、こんな大金持ったの生まれて初めてです」


「お前マジで無くすなよ?!フリじゃねぇからな?!」


「は、は、はい!」


「おっさんありがとな、また来るぜ」


「おう!また凄ぇの持って来てくれや!」


ラズルとクイナはいつも以上に周りを警戒しながら宿屋へと帰った。

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