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王都[4]

「よう兄ちゃん、新人なんだってな?」


おっさんは凶悪な顔を酔いで赤らめながらラズル達に話し掛けてくる。


「ああ、今登録したばかりの新参者だ。これからは同じ冒険者として宜しく頼む」


「そうか、新人か...ちょっくら面貸しな。そっちの嬢ちゃんもだ」


「ん?分かった」


「いやいや何平然と付いて行こうとしてるんですか?!絶対付いていっちゃ駄目なやつじゃないですか!」


「安心しな、嬢ちゃん」


そこまで言うとおっさんは満面の笑みでこう言った。


()()()()()()()()()()


おっさんの凶悪な顔は更に凶悪な顔となり、もう犯罪者のそれにしか見えなくなっていた。


「ほら、おっさんもこう言ってんだしよ」


ラズルがおっさんの後を追うので、渋々クイナも付いていく。


「俺らは新人が入ってくる度にちょっとした()()をするんだ」


(ヤバいです!これは集団で新人から金目の物を奪う新人狩りってやつです!)


(ラズルさんが負けるとは思いませんが...ここは私がしっかりしないと!)


「ほう、それは嬉しいな。それでどんな事をしてくれるんだ?」


「目瞑りな。俺らが良いって言うまで絶対開けんなよ」


「(ラズルさん駄目です!目を瞑った瞬間周りの人達が一斉に襲い掛かってきますよ!)」


「何言ってんだ?んな訳無いだろ」


「ほらっ、クイナも目を瞑っとけ」


(仕方ないですね....ここは私が『気配察知』でいつでも応戦出来る様にしておかないと!)


ラズルとクイナは言われた通り目を瞑り、おっさん達の合図を待つ。


「絶対開けんなよ!良いな、絶対に開けんなよ!」


(くっ...!これはかなりの数に囲まれていますね。....それにしても無性に目を開けたくなるのは何故でしょう)


(ええい!合図とやらが来た瞬間にこちらから仕掛けてやります!)


「よーし、3・2・1で目を開けて良いぞ」


(来たっ!)


「3・2・1....」  


パァァン!


『冒険者登録おめで...』


「ええい!」


「ゴハァッッ!!!」


おっさん達が何かを言い掛けた瞬間、クイナの無慈悲な拳が目の前の最初に話し掛けてきたおっさんを襲う。


おっさんは凄い勢いで吹き飛ばされ、ギルドの壁へとぶつかりようやく止まった。


『えええぇぇぇ!!』


「お前何やってんの?!」


「ラズルさん!早く戦闘体制へ!」


................


クイナ達が目を開けると、そこには鳴らし終えたクラッカーを持ちながら固まるおっさん達が居た。


その場の空気が凍りつき、誰も何も言い出せない状況が続く。


「....え?」


「警備員さぁぁん!!こいつです!」


「ちょちょ?!どういう事ですか?!」


「それはこっちの台詞だボケが!お前何折角祝おうとしてくれたおっさん派手にぶっ飛ばしてんの?!」


「いや...それはやられる前にと....」


「お前は何を警戒してんだよ?!」


「えっと...もしかして本当に祝おうとしてくれただけって事ですか?」


『はい』


「誠に申し訳ありませんでしたぁ!!」


「いや、それよりも早くおっさん助けてやれ。何か痙攣し始めたぞ」


「あっ?!ご、ごめんなさい!今すぐ助けます!」


クイナは壁に埋まったおっさんを引き抜いた。


「ラズルさんどうしましょう?!」


「馬鹿野郎!こういう時はまず助けを呼ぶんだよ!」


「どなたかこの中にお医者様はいらっしゃいませんかぁぁぁ!!」


「あ、あの私回復魔法得意です」


「おおっ!頑張れおっさん!諦めるんじゃねぇ!」


偶々その場に居た女冒険者がおっさんに回復魔法を掛ける。


意外にもおっさんはタフだった様で、回復魔法を掛けられ直ぐに復活した。


「はっ!俺は一体...」


「やった!先生、成功ですよ!」


「え、えぇ?は、はい!」


ラズルのボケに頑張って付いていく女冒険者、魔力を使い疲れるはずが、ラズルの顔を見た為か寧ろ元気になっている。


「ありがとな、お陰でうちのが登録早々冒険者カード剥奪にならずに済む」


「は、はい//」


ラズルの冗談混じりの笑みを見て顔を赤らめる女冒険者、もはやこれは仕方の無い事である。


女冒険者はその場を逃げる様に自分の仲間の方へと戻っていき、帰って早々仲間達の「1人だけずるい!」などの言葉が聞こえて来た。


「あ、あの...さっきは本当にすみませんでした!」


「ん?あ!さっき俺をぶっ飛ばしてくれた嬢ちゃんじゃないか!」


「うぅ...ごめんなさい....」


「これはこれは、どうして貰おっかなぁ~」


「で、出来る限りの事はします。でも....」












「エッチなのは駄目です!!」


「あ、俺は幼女趣味は無いから安心しな」


「誰が幼女ですか!誰が!」


「がっはっは!面白ぇ嬢ちゃんだなぁ!」


「うちのクイナさんは漫才の才能があるんでな、当然俺がツッコミだ」


「自分の今までの言動覚えてます?!」


「な?」


「確かにな!」


「それで詫びの件だが何すれば良い?」


「そうだなぁ...」


「じゃあ酒を1杯奢ってくれや」


「何だ、そんなんで良いのか?今ならこいつのスリーサイズとかも教えるぞ」


「何でラズルさんがそんなの知ってるんですか?!」


「いや、酒の方が良いや」


「たかが1杯の酒に負けると流石にショックなのですが....」


「因みにその1杯幾らだ?」


「安いやつで良いから大銅貨3枚だな」


「大銅貨3枚..私の秘密大銅貨3枚以下....」


クイナがショックを受けている内にラズルがおっさんへ大銅貨を3枚渡す。


「ありがとよ!」


「俺はラズルだ。さっきも言った通り登録したての新参者だから分からない事も多いんでな、宜しく頼むぜ先輩!」


「俺はバリールってんだ!さっきその嬢ちゃんにぶっ飛ばされちまったが、こんなんでも一応Cランク冒険者だ。困った事があったら遠慮せず言いな!」


「私はクイナです。バリールさんさっきはすみませんでした...」


「もう良いって事よ!酒も奢って貰ったしな!」


「早速だがバリのおっさん、これから初めての依頼を受けようと思うんだが、何が良いと思う?」


「そうだなぁ...駆け出しは普通薬草採取やお使いなんかの簡単なFランクの依頼を受けるのが良いんだが」


「さっきの嬢ちゃんを見た限り、Eランクの討伐の依頼でも余裕だと思うぞ」


「成る程な、参考になった。あんがとよ!」


「おう!頑張ってこい!」


その後バリールと別れ、リタの元へ行き、Fランクの薬草採取とEランクのゴブリン討伐の依頼を受けた。


「楽しみだなぁ!」


「確かに楽しみですが、油断しないで下さいよ!」


「分ーってるよ」


「じゃあ初めての依頼行きますか!」

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