農家での苦悩か[1]
元の姿に戻ったネラの背中は6人が乗ってもまだスペースが余る程広く、初めての空の旅に最初は怖がる姿もあったが慣れればネラの母親についての討論が白熱していたが、結果勝敗は決まらず先送りとなった。
「ん、グラウィスの実家ってあれか?何か近くにでっかい畑あるし」
「わっ!この距離であの大きさという事は畑もお家も大きそうですね。お泊まりが楽しみです♪」
「でもちょいちょい家あるから本当にあれかちゃんとグラウィスに確認取りたいなぁ」
「なら僕が聞いて来よっか?!もう慣れたから落ちないよ!」
「ちょっと頼むわ!足元気を付けろよ~」
「はいはーい!よっ...と!」
フランは軽い身のこなしでネラの背中から口元へと移り、気絶していて落ちたら危ない。というそれっぽい理由でラズルに特等席と称した口内に入れられたグラウィスに確認を取った。
「ただいまー!そこそこな大きさの紫の屋根の家だって!」
「ならあれで合ってるな。因みにどんな様子だった?」
「うーん、暗くて良く見えなかったけど何か雑誌みたいな薄い本読んでたよ」
「環境適応力高過ぎんだろ。つうかなんてもん持ち込んでんだあいつ」
「それにしても自然豊かな所ですね。川も綺麗ですし山菜なんかもいっぱいありそうです!」
「あんま柵とかないけど山から魔物とか下りて来ないのかな~?」
「畑を荒らす害獣とかも聞いた事あるよね」
「あー、柵は無いが一部の畑に罠なんかはあるみたいだな」
「ですね、それも結構大きめのやつですよねあれ」
「2人ともこの距離で見えるの?!……僕なんて畑にうっすら緑っぽいものが生えてる位しか見えないや」
「ふふん、私達獣人は目が良いので!ラズルさんはラズルさんなので!」
「にしても随分と罠が多いな、余程食い荒らされてんのか?」
「もしそうだったらお泊まりのお礼に私達で退治しちゃいます?」
「頼まれたらそうするか。それとそろそろ下りるから掴まっとけよー!」
『はーい』
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「よーしネラお疲れ!じゃあ特等席のお客様出して差し上げてくれ」
『おえぇぇ....ずっと飲み込まない様にするの大変だったんだからな』
「大丈夫大丈夫、最悪飲み込んでたら消化される前に排便させてたから」
「ふぃ~やっぱここの空気は最高ですね。あっ、俺ちょっと近くの川で水浴びて来るんでちょっと待ってて下さい!」
びっちゃびちゃのまま特に疑問を感じる事なく川へと走るグラウィス。その背中には以前の様な悲壮感は無く、漢の強い背中があった。
「ふっ....あいつも強くなったな」
「私もあんま人の事言えないですけど、これは慣れて良いものなんですかね」
『お父さん俺疲れたから寝る~。約束のもの忘れんなよ?!』
「おう任せろ!また1週間後頼むな」
後々ラズルが個人的に世話をするという約束の元ネラには一旦帰って貰い、代表者のアリアは皆で用意したお土産を取り出しグラウィスの帰りを待った。
「弟さんも居るという事なのであまり癖のないお菓子にしておきました!」
「美味しそ~!」
「こらこらあんたのじゃないんだから」
「皆お待たせしました!じゃあ早速…と行きたいんですけど、念の為にもう1度言っておきたい事があります」
「弟の事か?」
「はい。いや別に何か問題があるって訳じゃないんですけど...あいつちょっと王都に憧れてまして、色々とずれてる所があるんですけどあまり気にしないでやって下さい....」
「ふふっ、グラウィスさん何言ってるんですか。ここにはずれてるとかそういう次元じゃない人が居るんですよ?弟さんが多少変わってるだなんてそんなそんな…」
「そうだぞグラウィス。うちのクイナさんを舐めて貰っちゃ困るぜ」
「こういう事です」
「あはは、確かにそうかもですね!まぁ取り敢えず家入ったらそれぞれ部屋に案内するんで、荷物とか置いたら少しゆっくりしてて下さい」
ラズルとクイナのやり取りを見て満面の笑みとなったグラウィスは、胸を張って実家の扉を開いた。
「ただいまー!前に言ってた友達連れて来たよー!」
「やー、よう帰って来たけぇのぅ」
「あんれま!やだもうお友達さ来たんけ?そったら早く入ってくんろ!」
「あれ弟は部屋かな?まぁ良いやささっ、皆入って下さいよ!」
「先に聞いておきたいんだが弟は何処の言語話すんだ?」




