職場体験[16]
「まぁここら辺で良いか」
「結構王都から離れた場所に来た時点で何となく分かるんですけど、これからどうやって向かうんですか?」
「ネラ」
「危なくないですか?!」
「さっすがラズル!俺は信じてましたよ!」
「ぼ、僕空飛んだ事ないからすっごく楽しみ!」
「慣れたら意外と楽しいですよ」
「え、アリア乗った事あるの?」
「すやぁ~....」
「どこぞの馬鹿に頼まれたんでな、本来馬車で3日4日掛かるらしいんだが....今ならなんと!そこそこなスペースがある上更に数時間で到着出来る、お得なお空の旅プランがあるんです!」
「あれもしかしてこれお金取られます?」
「グラウィスだけな」
「え?」
人目に付かない所に来てそこそこの大人数を運ぶ手段として、未だラズルの背中で眠るロロと経験済みのアリアを除いたその場に居る全員がネラに乗るという、中々出来ない体験に対し期待を膨らませていた。
「へいネラ!ここからグラウィスの実家まで」
「いつの間にか召喚方法凄い省かれてますね....」
召喚方法が大分変わったものの効果に一切の変わりはなく、いつも通り召喚陣を通して久しぶりのネラが姿を現した。
「キュイ~....じゃなかった。おっす!オラネラ!」
『........ん?』
「おー良かった良かった。服着てなかったらグラウィスの両目抉り取らなきゃならかったから」
「え?」
「ラ、ラズルさん?こちらの方は一体...?」
「え、この状況でネラじゃない事あるか?」
「この見た目でネラちゃんな事あります?」
「お前それルーちゃんヤーちゃんお母様にも同じ事言えんのか?」
「そうだった!」
ネラの人化した姿に困惑しているクイナと、先程からニヤニヤしながらネラに目を向けラズルにぶん殴られたグラウィス以外はあまり抵抗が無い様子であった。
「へー、そう言えばもう成龍だったね!」
「可愛い...!何だかお人形さんみたいですね!」
「何か雰囲気がラズルに似てる気がするなぁ」
「何で皆さんそんな飲み込み早いんですか....」
「そんな細かい事気にすんなよクイナ!」
「喋り方のイメージが大分違う?!」
「まぁネラについてはこういう事だから宜しく。それで早速なんだが....へぶぅっ!!」
「お父さん毎回呼ぶの遅ぇ!あん中すっごい暇なんだよ?!」
『お父さん(~)?!?!』
あまりの爆弾発言に先程までは余裕の様子だったフランとアリアもパニック状態、爆睡中だったロロまでもが飛び起き、ララは気絶したグラウィスを看病していた。
「痛ってぇな?!親父にもぶたれた事ないんだぞ!」
「あんたが親父じゃい!」
「あー反抗期ですかそうですか。そういう態度取るならお父さんだって考えがありますからね!」
「えっ...な、何する気だよ」
「今度からお前の身体洗う時の水は俺の入った後の風呂の水にしまーす」
「ご褒美じゃねぇか」
「脱皮も手伝いませーん」
「なっ!まさかこれから1人で脱げってのか?!無理無理ごめんなさい!」
「後取れかかった鱗ペリペリするのも....」
「ラズルさんストップストップ?!私達が全く付いて行けないトーク始めないで下さい!何か良く分からないですけどネラちゃん泣いてるじゃないですか!」
ラズルとネラの間になされるドラゴントークを何とか止めるが、当の本人であるネラは余程ショックだったのか号泣寸前であった。
「ぐすっ...鱗...ペリペリ....」
「ほーらネラ僕がママだよー!アメちゃん食べる?」
「あらあら可愛いお顔が台無しですよ♪お母さんの所においで?」
「ここはこの中で1番のお姉さんである私に任せろ~!」
「だから皆さん判断が早い!!そしてロロさんおはようございます!」
「ふむ...順番に近所の気さくなお姉さん、母性の凄いお隣さん、背伸びしているいっこ上って感じだな」
「そんな分析要りませんよ?!良いからラズルさんも泣き止ますの手伝だって下さい!後お母さんポジション絶対譲りませんからね?!」
「ひぐっ...ご、ごめんなさい...えっぐ、もうぶん殴らないからぁ....」
「はぁ、仕方ねぇな....」
「おやつの干し肉を2枚増やそう。ついでに鱗ペリペリタイムもだ」
「なっ...?!……仕事内容は?」
「ここから数時間の距離を往復。行きは今日、帰りは7日後だ」
「ふっ...その話乗った!そっちは俺の背中に乗りな」
「交渉成立だな……よーしじゃあ皆行くぞー!」
『はーい!』
「何だこれ」




