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職場体験[14]

「それでまぁラズルさんが迎えに来たのは分かったんですけど、何でロロさんまで付き合わされてるんですか?」


「何で俺が無理矢理連れて来た前提なんだよ」


「それ以外の理由が見当たらないからですよ?」


「いや何かロロが個人的にクイナに用があるらしいんでな、俺の用事は終わったし先に外で待ってるから終わったら2人で来いよ~」


そう言い残すと共に何だかんだ不安げなロロへ目で大丈夫だと合図を送ると、最終秘密兵器(親父さんの靴下)を片手にぶつぶつ呟きながら部屋を出ていった。


「....何かぶつぶつ言ってましたけどアレ今後どこで使う気でしょうか」


「さ、さぁ~?」


「取り敢えずラズルさんは置いておくとして....私に用って何ですか?!」


普段あまり自分から話し掛ける事のないロロからの用だと聞き完全にテンションの上がっているクイナは、まだ起きてから間もないというのに目を輝かせながら尻尾をぶんぶんと回転させていた。


「えっと、その....昨日のナイフの事なんだけど」


「ナイフ...あーっと、私が造らせて貰ったやつですか」


「うん、あの私が壊しちゃったやつ....あれわざとだったんだ」


「……ふぁ?」


ロロの口から出た予想外の言葉にクイナの尻尾は動きを止め、半開きの口から間抜けな声が漏れた。


「本当にごめんなさい!!」


「..........」


壊した理由や様々な言い分を完全に取り除いた純粋な謝罪を前にクイナの思考は一瞬止まったが、まず最初に思い浮かんだ言葉が無意識的にそのまま口に出た。












「えっ...ナイフってあんな綺麗に折れるもんなんですか?」


「....うん?う、うん。金属全般に言える事だけど何か芯みたいなやつがあるから、それを正確に叩けば意外と簡単に折れ...ます」


同じくクイナから飛び出した予想外な発言にロロも思考が止まり、何故か敬語となっていた。


「芯?!そんなのあるんですか?!」


「はい」


「何で急に敬語になってるんですか」


「怒って....ないの?」


「え?何でですか?」


「変な気は....いや、ラズルもだったけど本当に使ってないんだよね」


どこかでやった事のあるやり取りに思わずロロも同じ言葉を返そうとしたが、ラズルから聞いた話、そして何より自分自身の目で見たクイナがそんな気は使ってないと判断した。


「何の事か分かりませんがあの人がそんな気使える訳ないじゃないですか....集合時間の5時間前に人の部屋に不法侵入して、いきなり顔面に対生物決戦兵器(親父さんの靴下)投下して来る様な人ですよ?」


「す、凄い言い様だね」


「まぁそりゃ偶には...って今はラズルさんの事は置いとくんでした。それで一応確認なんですけど何で謝ってくれたんですか?」


「何でってクイナが一生懸命造った物をわざと壊したんだよ...?クイナも凄い落ち込んでたでしょ?」


「え?そ、そんなに私落ち込んでました?」


「うん、顔もちょっと暗かったし何より尻尾が元気無さそうだった...」


「尻尾そんな分かりやすいですか?!」


「いつもはふと見ると何かしらの動きをしてるけど、あの時はしゅんってなってたから...」


「はい?!私それ知らないんですけど勝手に動いてるんですか?!怖っ!」


本当に無意識的に動いていたのか自身の尻尾を抱き締めながらガタガタと震えるクイナ。因みに良く見ると尻尾も小刻みに震えている。


「こ、こほん...取り敢えず尻尾の事も今は置いといて、確かにロロさんの言う通りあの時私落ち込んでたんですけど....ぶっちゃけそれナイフが壊れたからじゃないんですよね」


「……ふぇ?」


「何か勘違いさせちゃったみたいですみません...」


「えっえっ....あぇ??」


相当悩んだ問題なだけあってクイナの返答にロロは開いた口が塞がらずあうあうと顎が上下し、クイナの手から解放された尻尾は本人の意思と関係なくその顎と同じ上下運動をしていた。


「じゃ、じゃあ何で...?」


「えーっとですね......ったからです」


「え?」


「....れなかったからです」


「ご、ごめんもう1回」












「可愛いの作れなかったからです...!」


「......ん?」


「可愛いの作れなかったからです....!!」


「いやごめんどういう事?!」


「....フランさんとアリアさん何か可愛いの作ってラズルさんに渡してたじゃないですか。私も本当はああいうの作って渡したかったなぁ...なんて」


「....え、クイナもそういう事思うの?」


「そ、そりゃあ私だって時々考えちゃいますよ!」


「でもでもクイナはラズルと凄い仲良いじゃん!......私はそれに勝手に嫉妬してナイフ壊しちゃったし」


「えっ私に嫉妬?!そんなにラズルさんと仲良さそうに見えます?!....ふへへ」


もはやクイナにとってロロがナイフを壊してしまったという事は眼中になく、段々ただの恋ばなとなっていた。


「う、うん~」


「うーん、でも正直ロロさんが思ってるより皆さんと変わりませんよ?ラズルさん誰に対してもあんな感じですし」


「そうかなぁ~?」


「いや本当に。何なら最近女の子に興味ないんじゃないかって思い始めてますもん」


「あっ、それはそうかも~」


「ですよねそう思いますよね?!」


その後も2人の恋ばなは盛り上がっていき、壊れたナイフの話はいつの間にか過ぎた話となった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「ふぅ....何だかロロさんとこういう話が出来るだなんて思ってなかったので新鮮です!」


「私もこういうの初めてだから凄く楽しかった~!」


そうして恋ばなにも終わりが見えたその時、いつの間にか流れていた話とはいえそのまま不完全燃焼で終わらせたくないと本題を切り出した。


「あの...さ、私今度クイナとやりたい事があるんだけど....」


「え!何ですか?!」


「また....私と一緒に物作りしてくれない?」


ロロからの誘いを受けたクイナの顔は一瞬で顔がほころび、その尻尾は千切れる程暴れ回っていた。


「はい!勿論!何ならこっちからお願いしようと思ってたんですよ!」


「う、うん!2人で一緒に可愛いの作ってラズルにあげよ!」


「良いですねそれ!」


こうして壊れたナイフによって2人の間に深い絆が生まれたのであった……












「あいつら遅くね?」

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