職場体験[11]
「羨ましかったんだ~。皆が」
「羨ましかった?何が?」
「......ラズルとの思い出がある事」
「そんなんロロだって同じだろ」
「何て言うのかな~、まずクイナは1番付き合いが長いでしょ~?」
「言うて1ヶ月も差無いけどな」
「それでフランの長年の悩みを解決したのもラズルだし~。後詳しくは聞けてないけどアリアとも何か大きな事あったんでしょ~?夏休み明けから目に見えて明るくなって皆との距離感が近くなったのは嬉しいけどさ~....ラズルだけなんか違うじゃん?」
「それにほら、私って見た目も中身も女っぽくないでしょ~?」
いつもより口数の多いロロの本心からの自虐的な発言にラズルはやれやれと首を振ると、まずは自信を付けて貰うべくこんな言葉を送った。
「は?」
「え?」
「あ"?!」
「いやいやいや、何でちょっとキレ気味なの~?!」
「キレてねぇよ。それよりも何ださっきの見た目も中身も~ってのは」
「そのままの意味だけど....」
「ほーん、そんじゃ仮に女っぽくないとして何か問題あんのか?」
何が問題なのか。そう聞かれたロロは一瞬答えるべきか迷ったが、ここまで来て後戻りは出来まいと決意を固めゆっくりと口を開いた。
「ラズルに...ラズルに振り向いて貰えないから......です//」
直接的な言葉ではないと言えど、最早告白としか捉えられない自身の発言にロロの顔は過去に無い程赤く染まっており、対するラズルは一瞬驚いた表情を浮かべたが、直ぐ様柔らかく微笑みこう答えた。
「え?」
「は?」
「あ"ぁ"ん?!」
「この状況で急にキレが増す事ある?!私今超頑張ったんだよ~?!」
「そりゃキレも増すわ!なーにを見当違いな事言ってるんだねちみは?!」
「け、見当違い...?」
「女っぽくないと振り向いて貰えない?俺がいつ女っぽい奴が好みだって言ったよ?」
「そりゃ聞いた事はないけど....やっぱ普通はそうなんじゃないの...?」
「それだよそれ。その考え方が見当違いも良い所だっつってんだよ」
「え、えっと....」
「良し分かった!そんじゃあそこの飲み屋の前に居る姉ちゃんを見てみろ。あの姉ちゃんを見てどう思う?」
そう言ってラズルが指を指した先には、宣伝用の看板を持って呼び込みをしているナイスバディな女性が居た。
「凄く...大きいです......ちっ!」
「あれロロさんキレてます?」
「キレてないよ~?」
「なら良かった。因みにあの姉ちゃんは男に好かれそうか?」
「....うん。見た目も綺麗で笑顔も可愛いし~......おっぱいもおっきいし」
「確かにありゃ良い笑顔だが、俺はあの姉ちゃんよりよっぽどロロのが好きだぞ?」
「うん....うん?!」
突然の思いがけない言葉を聞いたロロはあまりの驚きに照れる間もなく、ただただ目を丸くしてラズルを見上げていたが、直ぐ様頭を横に振って何とか落ち着きを取り戻した。
「....気使ってる~?」
「使ってねぇよ。そのまんまの意味だ」
「で、でもそれって見た目だけの話じゃなくて、他の色々なものも込みでとかでしょ~?いやそれでも勿論嬉しいんだけどさ~!」
「アホか、今のは見た目だけの話だ」
「なっ....!!///」
「ははっ、俺の好みはロロの言う普通じゃなかったか?」
「いや...だってそれは....」
「ああ、俺の普通だからな」
「っ...!」
「ロロの言う普通ってのは全体での割合が多いってだけのいわゆる世間での普通だろ?より多くの異性に好かれたいならそれを参考にするべきだが...俺を振り向かせたいんだったら俺の普通を参考にすべきだな!分からなかったら...いや、こんだけ一緒に居れば分かるか」
「......成る程」
ラズルの話を聞いたロロは自身の元々の悩みを思い出し、俯いて何か考え事を始めそのまま数分が経った。
「...良し、決めた~!」
「ん、お悩みは解決しましたかね?」
「うん、さっきまで頑張って作った物を壊されただなんて普通は許してくれないと思ってたんだけど...きっと大丈夫~!」
「だってクイナはいつも笑ってて強くて面白くてモフモフで優しくて....」
そう言いながらロロはラズルの足の間から立ち上がり数歩前に出ると....
「全然普通じゃないからね~!」
月光を背景とした最高の笑顔をラズルへと向けた。
「ふっ....良く分かってんじゃねぇか」
「明日の朝私の気持ちをそのまま正直に伝えた上で謝るよ。それで今度2人で一緒にガチガチのナイフ造ろって誘うんだ~!」
「微笑ましい話だが造るもんが物騒過ぎるな」
「えへへ~、ラズルにも何か作ってあげるね~!」
「おう!楽しみにしとく」
「うん!じゃあラズルにはついでにもう1つの悩み....いや、お願いを聞いてもらおっかな~!」
「ん?何か頼みがあんのか?」
「えっとね~、ほんとは明日の為にもう寝るべきなんだろうけど、もう眠くなくなっちゃったからさ~....」
「2人だけの思い出が欲しい....です//」




