職場体験[9]
クイナのナイフをロロが確認して戻って来るまで少し時間が掛かるという事で、ラズル一行は鍛冶場を貸してくれた親父さんへお礼を言った後、ララが出してくれたお茶菓子を貰いながら次の職場体験現場であるグラウィスの実家について話を聞いていた。
「そういやグラウィスの実家ってここからどの位の所にあるんだ?」
「うーん、この間帰った時は馬車で3日4日って所でしたね」
「7日の半分終わってんじゃねぇか。ってかお前この間そんな何日も掛からないって....」
「ちちち違いますよ!....馬車で、ならですよ?」
「あー、何だよ流石にそこら辺は考えてるのか」
「いや全然」
「ララ、親父さんにもう1週間いけるか聞いといてくれ」
「え?あっうん任せて!」
「本当にすみませんでしたそれだけは勘弁して下さい」
「まぁそれは冗談としてどうする気なんだ?」
そこまで言うとグラウィスは一旦土下座の姿勢を解き、ただひたすらにラズルを見つめ始めた。
「..........」
「え、何その目」
「..........」
「おいおいグラウィスさんよ、言葉にしないと伝わらない事も...あるんだぜ」
「....(ダァァン!!)」
「無言で土下座すんの止めろ。分かった、分かったから」
「本当ですか?!流石ラズルありがとうございます!」
「1つ貸しな?」
「ぐっ...!わ、分かりました」
「じゃあその内何か頼むとするか....っとそんな話をしてたら終わったみたいだぞクイナ」
「ん!はっふぉへふか!」
ナイフの確認を終えたロロが戻って来ると、クイナは口に含んでいたお菓子を一気に飲み込み、余程楽しみにしていたのか尻尾をぶんぶんと振り回しながら駆け寄った。
「ロロさん私のナイフどうでした?!そこそこ良い出来だったと思ってるんですよ!」
目を輝かせながら結果を待つクイナとは裏腹に、ロロは両手を後ろへと隠しながら目を合わせようとしなかった。
「ロロさん?」
「......ごめん」
ようやく目を見たかと思えばロロの口からは予想していなかった言葉が飛び出し、どう反応して良いか分からず困惑しているクイナに対しロロは....
真っ二つに折れたナイフを差し出した。
「........え?」
「ごめん....実戦で使えるか強度の確認をしてたら力加減を間違えて折っちゃって......本当にごめん」
「あ、あー何だそういう事だったんですか!ロロさんは強度の確認してくれただけなので何も悪くないですよ!」
「..........」
「いやいや本当に気にしないで下さい!寧ろ確認だけで折れちゃうナイフを実戦で使わずに済んで良かったです!」
「........うん」
その後戻って来たロロを加えた皆でお茶菓子を食べる間、クイナは特に変わった様子もなく楽しげに話をしていたが、その尻尾は元気が無さそうであった。
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その後何事もないままお茶会も終わり、鍛冶屋での職場体験も幕を閉じた。
「じゃあ明日からはグラウィスの家の農業だな」
「皆さん待ち合わせ場所覚えてますよね?!夏休みの時と一緒の噴水前ですからね!絶対に遅れないで下さいよ!!」
「大丈夫ですよグラウィスさん。ここに2、3時間は早く待ち合わせ場所に着く人が居ますから」
「でも僕達全員で1週間も泊まりに行って大丈夫なの?」
「俺の家田舎で無駄に広いんで全然大丈夫ですよ!....ちょっと弟がうるさいかもしれませんが」
「え、グラウィスも弟居たの?!」
「あー、そう言えば言った事ありませんでしたね。まだ10歳でついでに変な奴なんで何かやらかしたらすみません....」
「いえいえそんな、こちらは泊まらせて頂くんですから弟さんにはいつも通りにして貰って下さい」
「は、はは....そう言って貰えると助かります」
「良し、んじゃまた明日噴水前でな」
『はーい!!』
「..........」




