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職場体験[8]

「おうおう何だ随分と盛り上がってるみたいだなぁ!」


皆が出来上がった物をお互いに見せ合いながら和気あいあいとしていると、1週間の間邪魔にならない様にと、少し離れた工房で1人黙々と仕事に専念していた親父さんが汗だくの身体を拭いながら満面の笑みでやって来た。


「あ、お父さん工房貸してくれてありがと~!お陰で短い間だったけど皆に鍛冶を楽しんで貰えたよ~!」


「ふふふ...そうかそうか!本来なら鍛冶舐めんなと言ってやりたい所だが....まぁ楽しかったなら良い」


「さてさて...では皆がどんな物を作ったのか俺に見せてみ....」


「それじゃお父さん汗臭いからお風呂入って来て~」


「........おう」


そんな娘のたった一言で先程の笑みは嘘のように消え去り、疲れた身体を癒す為というよりは傷付いた心を癒す為に風呂場へと向かった。


「お前らも家では父親の扱いあんな感じなの?」


「いやいやいや!お陰様で()()()()お父さんとはすっごく仲良くやってるよ!......最近ちょっと相談にも乗って貰ってるし」


「私も()()()()家ではお父さんがベッタリで少し疲れてしまう位なのですが....今はそれが嬉しくて仕方がないんです♪」


「何この娘の理想形みたいな子達」


「「あっ、それでラズル(君)....」」


声を掛けるタイミングが被ってしまい、2人は驚きつつもお互いに手を出して譲り合いを始めた。


「アリアから良いよ!」


「いえいえ、私は直ぐに終わるのでフランさんからどうぞ」


「大丈夫大丈夫!僕もやろうと思えば10秒で終わるからさ!」


「ふふっ、私も努力すれば7秒で終わりますからお先にどうぞ」


「なっ...ぼ、僕も全力を出せば5秒でいけるよ!」


「何10秒未満の用件の順番決めに10秒以上使ってんだよ」


「あはは、まぁ多分アリアも僕と同じ用件だろうから一緒で良いよね?」


「ふふっ、そうですね」


そう言って2人は顔を合わせると、どこかそわそわとした表情でラズルの前に並んだ。


「「せーっのっ!!」」


息の合った掛け声で差し出された物は、先程2人が完成させたばかりの腕輪とネックレスであった。


「いや、これって2人が頑張って作ったやつだろ...?」


「はい!ですから是非ラズル君に貰って欲しいな....なんて」


「ラズルに貰った指輪みたいに綺麗でも何か効果がある訳でもないんだけど....せっかくこういう機会を貰えたから何か形に残る物を渡したくてさ」


「あー、分かった。そういう事なら遠慮なく貰う。ありがとな!」


自身が作った物を嬉しそうに身に付けるラズルを見て微笑む2人と、そんな光景を同じく嬉しそうに、しかしどこか複雑そうな表情をした少女が1人。


「......ラズル、実は....」


「ラズルさん私のナイフも要ります?これ思ってたより切れ味良いですよ!」


「確かに見た感じ出来も良....ってちょっと待て、いつの間に試し斬りなんてしに行ったんだ?」


「え?ここでやりましたよ?」


「......因みにここに試しに斬れる様な物は置いてないんだが?」


「あーそれならほらっ、あそこに丁度良い感じの金属棒があったので!」


クイナが笑顔で指を指した先には丁度良い感じの金属棒、もといラズルが作ったピックだった物が無残にも転がっていた。


「ピィィィィィッッッッック!!!あれ俺が丹精(たんせい)込めて作ったピックでは?!」


「はい!」


「はい!じゃねぇわ?!お前人が頑張って作ったもん良くそんな笑顔で壊せんな?!」


「いやいや、私も流石にフランさんやアリアさんみたいに頑張って作ってたら壊したりなんてしませんよ」


「ほぅ....まるで俺が頑張ってなかったみたいな言いぐさだな?」


「んー...まぁそういう訳じゃないんですけどね?私達はこの1週間頑張ってようやく1つの物が出来た訳ですよ」


「うん」


「ラズルさんあれいくつ作りました?」


「100越えてからは数えてないな」


「じゃあ1つ位別に良くないですか?」


「うん」












「「へへへへへへへっ!!」」


「......あのノリは僕達じゃ出来ないなぁ」


「うふふ、クイナさんが羨ましく見えてしまいますね」


「............」


「あっそうだ、俺はあんまナイフは使わないから、あの洞窟で拾ったやつとで二刀流にしてみたらどうだ?クイナに合ってるぞ」


「二刀流ですか....やった事ないですけど何か格好良いのでやってみます!」


「その前にちゃんと実戦で使えるやつかどうか()()に見てもらえ」


「あっ、確かに折れたりしたら困りますもんね。ロロさんお願い出来ますか?」


「......うん、任せて~」


いつも通り気が抜けた様な声で返事をするロロであったが、ナイフを受け取りその場から立ち去る足取りはいつもよりも早く見えた。

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